研究課題/領域番号 |
21K01435
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
高石 哲弥 広島経済大学, 教養教育部, 教授 (60299279)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 暗号資産 / バリューアットリスク / リスク指標 / ボラティリティ / ハースト指数 |
研究実績の概要 |
高頻度ビットコイン価格から1分毎の収益率を計算し、その収益率時系列からリスク指標であるValue at Risk(VaR)とConditional Value at Risk (CVaR)を計算した。収益率分布のすそ野がべき分布で表されるとき、CVaRとVaRの比がべき分布のべき指数のみで表されることを理論的に導出した。そして、ビットコインのリスク指標から実際にCVaRとVaRの比がべき指数のみで表されることを実証した。また、ボラティリティとVaR及びCVaRの相関を調べ、その相関は大きいことが分かった。相関の時間変動を調べるとゆっくり変動していることが分かり、またボラティリティとリスク指標が共に大きい時期や小さい時期を示すことが分かった。 ボラティリティ時系列は長期の相関を持つことが知られており、ボラティリティ時系列をモデル化する場合、長期相関を持ったモデルが選ばれることが多い。最近、ボラティリティ差の時系列のハースト指数が0.5以下の反持続的時系列になっていることが報告されている。これは、ボラティリティ時系列が反持続性のパスとなっていることを示唆している。このことから、ボラティリティ時系列のモデル化に反持続性を持つモデルを採用した研究が進んでいる。本研究では、ビットコインボラティリティのハースト指数について詳しく調べた。ボラティリティは実現ボラティリティを利用したが、実現ボラティリティにはマイクロストラクチャーノイズが存在し、推定精度を下げることが知られている。マイクロストラクチャーノイズの影響を調べたところ、ノイズの影響を修正するには実現ボラティリティに修正ファクターをかけることで良いことが分かった。このことから、ボラティリティのハースト指数の計算においていは、マイクロストラクチャーノイズによる影響は小さいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初利用していた計算機施設がリニューアルで年度途中で停止したため、データ解析の進展が遅くなったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、リニューアルする計算機施設で残りのデータの解析を進める。また、ビットコインボラティリティ時系列のハースト指数における有限サンプル数効果についても調べる。そして、これまでの研究成果を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で、データ解析を行っていた計算機施設がリニューアルで停止し、一部データ解析が進まなかったところが存在する。本年度は残りのデータ解析を実行し、解析結果をまとめたものを学会発表する。また、これまでの成果を論文にまとめて発表する。
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