研究課題/領域番号 |
21K01437
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀夫 東北大学, 経済学研究科, 名誉教授 (40133897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 連結財 / リカード型貿易モデル / ケインズ的失業 / 多数国多数財 / F. D. Graham / P. J. Stirling |
研究実績の概要 |
本研究課題の重要キーワードは、「連結財」「中間財貿易」「ケインズ的失業」「多数国多数財」であるが、当該年度にはこれらのキーワードに関連する2本の論文を公刊した。 1本は、「連結財」(2国以上の貿易当事国が共通に生産する貿易財)が貿易理論史においてどのように取り扱われてきたのかをレビューしたものである。このような試みは、我が国においてのみならず世界的に見ても例がなく、特に、Patrick James Stirlingの国際価値論がもつ先駆的な側面を肯定的に評価した点に独自の意義がある。 もう1本は、「連結財」「ケインズ的失業」「多数国多数財」に関連する英文論文で、査読付き英文ジャーナルに公表した(web上での公開が2021年12月、雑誌収録は2022年5月)。その中では、多数国多数財リカード型貿易モデルにおける解の一般的な導出方法と解の存在証明がなされており、中間財が存在しないケースとしては一応の完成形となる。この論文ではまた、生産技術の変化と需要の動学(各個の財に対する需要はロジスティック形状を描き、やがて飽和にいたる-ルイジ・パシネッティが提唱した考え方-)を考慮した成長戦略についても考察している。 さらに、「連結財」「中間財貿易」「ケインズ的失業」「多数国多数財」をすべて含めたモデルを当該年度の10月に筆者も所属する国際価値論研究会(web開催)で報告し、参加者から貴重なご意見をいただいた。これを基に、英文論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2本の論文が公表されており、さらにこれらとは別に、研究会での報告を基に投稿用論文が作成途上にある。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調にきているので、このまま研究計画に従って研究を推進していく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、新型コロナの影響で出席を予定していた研究会・学会がオンライン開催となったために、旅費使用額がゼロとなったことである。しかし、未使用残額はそれほど大きくないので、翌年度の使用計画を大きく変更する必要はないと考える。
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