研究実績の概要 |
本研究課題は、個人の災害リスク認知プロセスに焦点を当てて、リスク情報の提供が、主観的リスク認知の更新を介して防災行動の選択におよぼす影響を明らかにすることを目的としている。具体的には、大規模アンケート調査とリスク情報の提供に関するオンライン介入実験を組み合わせて実施することで、(1) 自然災害に対する主観的リスクの認知バイアスの計測、(2) 追加的な客観リスク情報の影響の検証、(3) 主観的リスク認知が防災行動におよぼす因果的効果の測定という3つの研究課題を遂行する。 2022年度には、オンライン調査の検討・設計および既存データを用いた研究を引き続き遂行した。予備的な分析 (Naoi and Yasuda, 2022) の結果、調査対象の選定とオンライン介入の方法について、いくつか重要な指摘を受けたため、これに基づいて必要となる調査対象の選定および調査項目の見直しを行った。また、既存データを用いた研究に関しては、木造住宅密集地域と地価の関係性を検討した研究 (Kawabata, Naoi and Yasuda, 2022) を進め、Journal of Spatial Econometrics誌に掲載された。空間的な回帰不連続アプローチを用いることで、これを発展させた研究 (Kawabata, Naoi and Yasuda, 2023) をさらに進めており、現在学術誌に投稿・審査中の段階にある。また、昨年度から実施していた東日本大震災発生後の個人のリスク認知の変化を検討した研究 (Yasuda, Naoi and Yukutake, 2022) については、引き続き改訂を進め、学術誌への投稿準備を行っている。
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