研究課題/領域番号 |
21K01458
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福川 信也 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00433409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 公設試験研究機関 / 技術移転 / イノベーション |
研究実績の概要 |
公設試の技術移転に関するデータセットを構築し、公設試法人化が特許の商業的成功に与えた影響を明らかにした。具体的には、内生的スイッチング回帰(ESR)モデルにもとづき、法人化公設試、非法人化公設試のライセンス収入の規定要因を分析し、法人化の治療効果(ATT)がマイナスであることを示し、その背景について考察を加えた。ESRモデルの第一段階プロビットモデルで法人化確率の推定を行い、歴史の浅い公設試が法人化される傾向にあること、技術系職員数、地域内企業との共同出願比率、地域イノベーション集積の特化係数などが法人化に影響を与えることを示した。第一段階の推計結果をもとに、第二段階では被説明変数と説明変数の間に3期のラグをとった最小二乗推定を行い、地域内企業との共同出願比率は非法人化公設試のライセンス収入にはプラスの、法人化公設試のライセンス収入にはマイナスの効果をもつことを示した。この結果は技術相談に代表されるローカルなスピルオーバーが非法人化公設試にとって重要である一方、学位取得者比率や学術論文などに代表される広域のスピルオーバーが法人化公設試にとって重要であることを示唆している。法人化は経営上の裁量の拡大や知的財産の所有権の移転を通じて、研究活動へのインセンティブを強化する傾向にある。他方、法人化に伴い設立が義務化される外部評価委員会においては普及活動の評価ウエイトが高く設定される傾向にある。工業系公設試では同じ技術系職員が普及と研究に資源を割く必要があるため、法人化公設試では資源配分のトレードオフが深刻化し、このインセンティブシステム改革と評価システム改革の齟齬がATTをマイナスにしたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データセットの構築、その分析、論文執筆、国際学会報告、国際雑誌への投稿と受理が順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
知識のプロバイダだけでなくユーザのデータを収集し、公設試の技術移転がユーザの生産性に与える効果を推計する。そのためのデータセットの構築に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文校閲に想定以上の費用を要したため。
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