研究課題/領域番号 |
21K01462
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村尾 徹士 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (00645004)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空間動学モデル / 数値解析 |
研究実績の概要 |
(研究の目的) 2021年度は,研究課題の土台となる空間動学フレームワーク構築の準備を行った.具体的には,(1)既存の空間動学モデルの性質の検討,(2)空間動学モデルの均衡を数値的に求めるためのアルゴリズムの検討,(3)分析に用いるデータの検討を行った.とりわけ,空間動学モデルの数値解析における次元の呪いの問題,および地理情報データとのマッチングを考慮しながら,空間動学フレームワークの検討を行い,ある程度現実的な分析可能性を有するモデル構築についての目処を立てることができた. (意義・重要性) 上記の作業を行った理由は以下の通りである.本研究課題の目的は,インフラ整備,規制緩和,R&D投資補助,という3つのタイプのイノベーション政策を念頭に置きつつ,グローバル競争の激化と産業構造変化のもとで有効なポリシーミックスを明らかにすることである.従って本研究課題の最初のゴールは,グローバル競争の激化と産業構造変化の影響を適切に捉えるための空間動学フレームワークを構築することである.ところで,現実世界の地理的特性を多少なりとも反映した動学モデルの分析には一般に数値解析が不可欠である.さらに「空間」を状態変数として持つ動学モデルの分析では「次元の呪い」が特に深刻であることが知られており,既存研究によって幾つかの方策が提案されているものの,tractabilityと現実性の両立には未だ至っていない.また,本研究の最終的な目的は現実のデータを用いたモデルの構造推定にあるため,空間動学フレームワークを構築する際には,同時に利用可能なデータの検討を行う必要がある(本研究では企業レベルの個票データに加えて,Natural Earth 等の地理情報データを活用することも検討している).そこで本年度は空間動学モデルの構築にあたって不可欠である,上記諸点に関する検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の基礎に据える空間動学フレームワーク開発の方向性について,ある程度の絞り込みを行うことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
最もシンプルなケースについて,数値解析のためのプログラムを完成させる.モデルに複数部門とNon-homothetic CES選好を導入し,グローバル競争の激化と産業構造変化の影響を分析するためのフレームワークを完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
数値解析に用いるワークステーションの購入を予定していたが,2021年度の購入は見送った.理由は,Covid-19流行による半導体価格高騰により,数値解析用途のGPUを搭載したワークステーションの価格が高騰したためである.次年度使用額については,次年度請求分の物品費(ワークステーション購入)に含めて使用する.
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