研究実績の概要 |
年齢、性別、正規・非正規の雇用形態の単位で、OLG(世代重複)タイプのヘテロエージェントモデルを用いて、日本の今後の社会保障政策(年金・医療・介護保険制度)を、実際の人口動態を前提として、数値計算によるシミュレーションを行った。これについては、"The Impact of the Social Security Reforms on Welfare: Who benefits and who loses across Generations, Gender and Employment Types?"というタイトルで、2022年の日本経済学会秋季大会で報告した。 さらに、同様に男女別のOLG(世代重複)タイプのヘテロエージェントモデルに、個人単位の労働生産性ショック(idiosyncratic shocks)を追加したライフサイクルモデルを使い、生涯期間にわたって、男女の時間配分(仕事、余暇、子育て時間)がどのように決定されるのかを、実際の日本のデータ(総務省による「社会生活基本調査」)との適合を測りつつシミュレーションを行った。この計算結果から、育児休暇制度等の政策効果を算出した。この研究については、”Child Care, Time Allocation, and Life Cycle " というタイトルで2023年の日本経済学会秋季大会で報告予定である。 なお、これらの研究の数値計算にあたって、ベルマン方程式を用いた動学計画法を利用している。この非線形の政策関数の計算精度を高めるうえで、並列計算を実装したサーバの利用が必須である。
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