研究実績の概要 |
令和5年度における1つ目の研究業績①としては、日本経済学会秋季大会(関西大学)で報告した論文タイトル”Child Care, Time Allocation, and Life Cycle”がある。これは夫と妻のそれぞれの労働生産性に異質性を持たせることで、所得格差を発生させた「ヘテロ・エージェント」によるライフサイクルモデルである。このモデルを用いて、夫婦が、どの程度、市場労働や余暇と比較して子育てに時間配分を行うかの分析を行った。また、このモデルのパラメータの選定するために、日本の労働賃金統計を用いて、年齢別、性別ならびに高卒・大卒の学歴別による所得の実際の集計データと適合するように、カリブレーションを行っている。この日本のデータから推定されたモデルのパラメータは、オリジナルの論文が推定しているアメリカの推定値と比較したところ、大きな違いがないことが分かった。この研究は、令和6年度にさらに加筆修正を行い、国際学術誌に投稿予定である。 2つ目の研究業績②は、令和5年11月に国際学術雑誌に採択された"Estimating a Behavioral New Keynesian Model with the Zero Lower Bound," (with Yasuo Hirose, Mototsugu Shintani, Kozo Ueda) Journal of Money, Credit & Banking (forthcoming). DOI: 10.1111/jmcb.13119である。この非線形モデルの均衡解の計算技術は、ヘテロエージェントモデルで用いる均衡解の計算技術と同様のCPUの並列計算を用いることで効率化を図っている。 また、この期間に、令和6年度に完成予定の以下の研究についても同時に進行させた。 [1]"Estimating QE in a DSGE Model with the Zero Lower Bound," [2] "Estimating a Medium-scale New Keynesian Model under the Zero Lower Bound for Japan," 2点目の研究は 令和6年度に 国際学会に報告予定である。
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