研究課題/領域番号 |
21K01466
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | サプライチェーン / ネットワーク / ものづくり文化 / 暗黙知 / 自然災害 / 閾値 / 日本の自動車部品産業 / 情報集積 |
研究実績の概要 |
第一に,「文化的進化」に関する哲学的,歴史的あるいは数学的な文献を渉猟,精読し,理論モデルの発展の可能性について考察してきた.ものづくり文化と自然災害の関係を扱う論文"On Nature of the Craftsmanship Culture and Its Economic Consequences"(coauthored with Yeming Zhang)を進捗中である.人命の喪失を伴う戦争などの人為的な災害と異なり,自然災害は物的な損害を大きく被る.ものづくりの文化が栄える地域では,自然災害の伝承が生きているという仮説について,理論モデルに基づきながら,古今東西の自然災害の記録データを下に実証的に分析する.ものづくり文化の指標として,World Value Survey, Ethnographic Atlas, PISAのデータを用いる.また,自然災害の記録データとして,EM-DAT (CRED)を活用する. 第二に,日本の自動車部品産業に関して行ってきた実証分析を集めた著作集Information Agglomeration of Japanese Auto Parts Suppliers (SpringerBriefs in Economics, coauthored with Ichihiro Uchida)の延期されてきた出版のため,その対応を行ってきた.取引費用の経済学によれば,分権的組織による情報集積(Information Agglomeration)のためには,多大な費用が被る.技術革新の進む日本の自動車部品産業を例にとり,取引費用を引き下げている要因は何か,産業組織論のアプローチから理論的および実証的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ものづくり文化に関する理論モデルの構築に向けて,これまで上智大学大学院博士後期課程の張燁明氏に研究協力をもとめてきたが,一般企業への就職のため作業の中断を余儀なくされたため.また,代表者の所属大学の異動に伴う準備のため,研究時間の短縮に迫られたため.
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今後の研究の推進方策 |
上智大学大学院博士後期課程に復学する予定である張燁明氏とともに,ものづくり文化と自然災害の関係に関する理論モデルを構築し,実証分析のためデータの整備を急ぎ,理論モデルの含意について実証分析を行う.「文化と制度の経済学」を扱う研究会での報告の機会を得,社会学,歴史学,人類学など経済学以外の専門家との議論を目論む.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究報告や意見交換のために海外の研究機関・国際コンファレンスの受け入れを探ってきたが,受け入れの困難から実現しなかったため.次年度は,NBER(全米経済研究所)やAEA(アメリカ経済学会)などへ出張する予定である.
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