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2022 年度 実施状況報告書

不確実性下の企業の投資行動と最適政策

研究課題

研究課題/領域番号 21K01468
研究機関明治大学

研究代表者

海老名 剛  明治大学, 商学部, 専任教授 (00579766)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード製品差別化 / リポジショニング / 競争政策 / 不確実性 / 産業組織 / リアル・オプション
研究実績の概要

研究実施計画書において,2022年度の目標を,1.より現実に近い確率過程を導入した論文の国際学術雑誌への投稿,2.同論文の研究成果を基にした新しい論文の執筆,3.その他の論文の執筆および学術雑誌への投稿,としていた.
1.として,前年度取り組んでいたトレンドやボラティリティが複数の状態で遷移するという2種類の不確実性があるモデル(レジーム・スイッチングモデル)を分析した結果をまとめた.前年度にある程度の結果が出ていたため,イントロをまとめる形で修正を進めた.
これとは別に,複占企業が相関があり異なる需要の不確実性に直面している時,敵対的買収 or 友好的合併を,いつ,どのような価格で実施するのか,に関して研究を進めた.
2.として,企業間の生産技術に差がある状況で,複占企業が製品立地・参入時点を逐次的に決定するモデルを構築し,分析を行った.本研究は不確実性を導入する前の基礎モデルとしての位置付けとなる.結果として,先行研究の結果と大きく異なり,技術的劣位にいるリーダー企業であっても,より大衆的な製品を生産する誘因があることを明らかにした.
3.として,ネットワーク外部性を導入した研究を開始した.ネットワーク外部性は,プラットフォーム企業と関係しており,近年競争政策の観点からも注目されている.今年度,企業戦略に関する主要な分析を終えた.結果として,外部性を導入すると,市場成長率,金利,ボラティリティといったパラメータの変化に対して,均衡における製品立地がジャンプすることがわかった.外部性を導入していない先行研究によれば,均衡製品立地は,パラメータに対して,常に連続となることが指摘されている.本研究成果は,外部性がある状況では,各パラメータの変化に対して,均衡製品立地が突如として大きく変化する可能性があることを示唆している.また現在,経済厚生に関する分析を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画書において,2022年度の目標を,1.より現実に近い確率過程を導入した論文の国際学術雑誌への投稿,2.同論文の研究成果を基にした新しい論文の執筆,3.その他の論文の執筆および国際学術雑誌への投稿,としていた.
1.として,前年度取り組んでいた結果をまとめなおし,国際学術雑誌に投稿した.
これとは別に,敵対的買収・友好的合併に関する研究を進めていた.既に,国際学術雑誌より改訂要求を受けていたため,これに対応し,結果として,雑誌 Journal of Corporate Finance にアクセプトされた.
2.として,企業間の生産技術に差があり,費用の異なる状況を分析するため,不確実性を導入する前の基礎モデルとして,逐次的に複占企業が立地(製品属性)を決定するモデルを構築し,分析を行った.2022年度に国際学術雑誌 Annals of Operations Research に投稿し,現在,改訂要求を受けている.Major revisionであり,適切で具体的な事例をいくつか付けるべき,というコメントを受けているため,この指示に従った対応を共同研究者と議論している.事例については,1.の研究と重複する部分もあるため,同時に対応を進める.
3.として,近年注目されている外部性等に注目した研究を進めている.企業戦略に関する分析は,ほとんど終わっている.現在,経済厚生に関する計算を進めており,終わり次第,競争政策に関する提言をまとめる.終了後,国際学術雑誌に投稿予定である.
アクセプトが1本出た点,1本が改訂要求を受けている点,モデルの構築および分析が終わっている点,といった進捗状況により,おおむね順調に進展している,と判断した.

今後の研究の推進方策

2023年度の目標1.として,撤退や再立地製品再開発の可能性を考慮したモデルを構築する.近年,グローバル化や経済環境の変化により,従来に比べて,市場からの撤退や再立地・製品再開発を頻繁に行う傾向がある.特に,コロナ禍であれば,このような選択は企業にとって重要となる.方針として,先行研究の簡単なレビューを行い,モデルの構築を行う.既に,簡単な方針については念頭にあり,共同研究者と打ち合わせをしているので,1, 2年目の研究を基に,どのように進めていくかを議論する.
目標2.として,1, 2年目で企業の戦略に関して進めた研究成果から,経済厚生を求め,競争政策への提言を行う点があげられる.政府は,企業戦略に関する均衡を所与としたうえで,政最適な政策を考察する必要がある.特に,経済状況が変化することで,均衡戦略がどのように推移するかを想定したうえで,最適政策を考える必要がある.したがって,1, 2年目に得られた「研究実績の概要」に記述した結果に対して,解析的分析・数値的分析を行う.
目標3.として,これまで投稿・学会報告した論文に対して,いくつかのコメントが寄せられている.これらを反映し,新たなる論文の執筆,および国際学術雑誌への投稿を継続して進める.

次年度使用額が生じた理由

コロナにより出張が中止になった点,英文校正サービス・消耗品等の購入費用が想定よりも少なかった点,PCの購入を想定していたが現状のPCで対応可能であったため翌年に購入を遅らせた点,等により次年度使用額が生じた.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Hostile takeovers or friendly mergers? Real options analysis2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Ebina, Yuya Kumakura, Katsumasa Nishide
    • 雑誌名

      Journal of Corporate Finance

      巻: 77 ページ: 102292

    • DOI

      10.1016/j.jcorpfin.2022.102292 Get rights and content

    • 査読あり
  • [学会発表] A Dynamic Model of Repositioning with a Markov-Switching Regime2022

    • 著者名/発表者名
      西出勝正,海老名剛
    • 学会等名
      日本ファイナンス学会第4回秋季研究大会
  • [備考] 明治大学教員データベース

    • URL

      https://gyoseki1.mind.meiji.ac.jp/mjuhp/KgApp?kyoinId=ymdbyogiggy

  • [備考] Takeshi Ebina's Website

    • URL

      https://sites.google.com/site/ebinatakeshi2010/research

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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