研究課題/領域番号 |
21K01471
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
川越 吉孝 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (40582193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | R&D補助金 / 垂直的市場 / 貿易政策 |
研究実績の概要 |
本研究課題の1年目(2021年度)の研究成果は以下の通りである。初年度は、上流企業と下流企業間の共同研究開発とそのための研究開発補助金の影響について分析を行った。なお、上流企業は1社で、下流企業は2社存在する。上流企業は、どちらの下流企業にも中間財を供給するが、共同で研究開発を行うのは、そのうちの1社である。この研究では、2つのシナリオをもとに、分析を進めた。1つ目(ケース1)は、上流企業が共同研究開発を行う企業向けの中間財を、限界費用と等しい価格にする場合、2つ目(ケース2)は、上流企業が、2つの下流企業の独占企業として行動する場合である。 ケース1の場合はR&D補助金は正の値になるが、ケース2の場合は正か負は決まらない。ただし、すべてのケースで、世界の総余剰を最大にするR&D補助金は、正の値になる。このことから、R&D補助金は、補助金負担国と世界全体どちらも考慮に入れた場合に、ケース1は、どちらの総余剰も増やすので、貿易紛争になりにくい事がわかった。 ここまでの結論を、1月に行われた、日本国際経済学会関西支部研究会で報告を行い、たくさんのコメントをいただいた。これらのコメントをもとに、モデルの設定を含めて、分析を改めて行った。 分析のやり直しを行った研究成果を国際学会にて報告で行うため、2022年4月に開催されるAustralasian Trade Workshopでの報告に応募し、採択された。 本研究の遂行のために、分析及び論文や資料の作成のためのコンピュータ及び関連するソフトウェアの購入を行った。また、知識を蓄積のための文献の購入も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に理由は2つである。1つ目は、理論分析が想像以上に複雑で、解析的な分析に時間を有したことが挙げられる。2つ目には、コロナ禍において、学会報告の場が限られてしまい、研究過程でコメントを得る機会が年度末になってしまったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の2年目(2022年度)の研究の推進方策は、以下の通りである。 前年度に研究会報告でいただいたコメントをもとに、モデルの精選化と分析を改めて行う。また、すでに採択済みの2022年4月に開催されるAustralasian Trade Workshop(オンライン開催)にて、報告を行う。報告結果をもとに、改めて、分析を行い直し、追加で学会報告を行うか、論文として投稿するかを検討する。 また、次の論文の検討を行い、分析を進める。2023年3月にある国際学会で報告を考えると、10月までにある程度のめどが立っている必要があるので、それを目標に研究を行う。 以上の研究を遂行するために、国際経済学関連の文献を購入し、ソフトウェアの年間契約の更新を行う予定である。また、国際学会は、対面であることを見越し、学会参加のための海外出張を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
オーストラリアにて開催予定であった国際学会に参加・報告するつもりであったが、開催が2022年度4月に延期になり、また、オンラインのみにての開催となったため、次年度使用額が発生した。
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