研究課題/領域番号 |
21K01473
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
浦上 拓也 近畿大学, 経営学部, 教授 (10351561)
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研究分担者 |
北村 友宏 同志社大学, 商学部, 助教 (10822900)
田中 智泰 近畿大学, 経営学部, 教授 (20511182)
中岡 孝剛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (50633822)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 上下水道事業 / 最適産業構造 / 実証分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の上下水道事業における最適産業構造のあり方を実証的に分析することである。具体的には、政府によって推進されている広域化・共同化、官民連携の政策を踏まえつつ、果たしてどのような産業構造が上下水道事業にとって望ましいのか、その歴史的・地理的諸条件を適切にコントロールした上で、最適な産業構造について計量経済学的手法を用いて実証的に明らかにする。本研究の成果は日本のみならず世界の上下水道政策にとって非常に有用な情報となることが期待される。 プロジェクト初年度の令和4年度においては、前年度から継続して実証分析に必要となるデータのアップデートおよび上下水道事業の実態を知るための情報収集、そしてすでに構築しているデータベースを用いた分析を進めている。特に海外と比較しても非常に複雑な産業構造をもつ下水道事業に関して、歴史的発展過程、産業構造、法制度、財政・料金のシステムなどについて英語論文として取りまとめた。その成果が2件、令和5年1月にSpringer社の書籍に掲載された。(タイトル:The Japanese sewerage industry: institutional aspects and the governance systemsおよびEstimation of Tap Water Demand in Japan: A Panel Data Analysis ) また、これと並行して下水道事業における包括的民間委託の経済分析、および広域的統合の分析を同時に進めている。これらの研究成果は論文化が進められており、令和5年度中には海外の学術誌に投稿する予定である。 研究代表者の浦上は、日本下水道協会の経営アドバイザー会議の委員を務めておりその会合において国土交通省の担当者と意見交換を行っている。また、厚生労働省水道課が数年にわたってとりまとめているベンチマーキングに関する報告書のアドバイザーを務め、同担者との意見交換を行っている。これらから得られた情報は実証分析にフィードバックされさらなる研究の精緻化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの研究成果は英語論文として取りまとめ、積極的に海外の評価の高い学術誌に投稿していく予定である。すでに2件の論文(タイトル:The Japanese sewerage industry: institutional aspects and the governance systemsおよびEstimation of Tap Water Demand in Japan: A Panel Data Analysis)は英文の書籍に掲載されている。また、下水道事業の包括委託の分析については計量経済学的な分析が終了し英語論文として取りまとめられ、現在英文学術誌に投稿する段階に来ている。さらに、下水道事業の広域的統合の分析についても長期時系列のパネルデータを構築し、実証分析を行い分析が最終段階に来ており令和5年度中に論文化すべく作業を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
すでに2件の研究成果が英語論文として出版され、さらに2件が英語論文として取りまとめの段階に来ている。今後は継続して上下水道統合の効果の分析、上下水道事業のベンチマーキングの分析を進める。これらの研究については、厚生労働省水道課、国土交通省下水道部・日本下水道協会の協力を得ながら進められており、水道・下水道行政の政策立案に資する研究成果となるよう取りまとめていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算執行はほぼ予定通りに行われているが、アルバイト謝金支払いに充てる残金が不足したため、作業そのものを次年度に繰り越すこととし、少額ではあるが残額が残る形となった。次年度も継続してデータベースのアップデートを行うためのアルバイト謝金として残額を含めた次年度予算の計画的な執行を行う予定である。
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