研究課題/領域番号 |
21K01487
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
本田 圭市郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非関税障壁 / 廃棄物政策 / 廃棄プラスチック |
研究実績の概要 |
本研究は、環境保護を目的とする廃棄物政策が、国際貿易フローおよび貿易パターンに与える影響を実証的に明らかにすることを目的とする。加えて、貿易パターンの背景にある企業の意思決定メカニズムを実証的に明らかにする。 R3年度は、以降の研究の土台となる基礎調査として、関連文献の調査と、廃棄プラスチックの輸入禁止政策についての経緯や詳細の把握、関連企業への簡易的なヒアリングを行った。 関連文献としては、いくつかの実証研究および政策の事例分析で取り上げられているものの、データの不足などから実証研究は進んでいない。一方、特に中国の政策変更による日本国内のリサイクル市場への影響の大きさは、国内企業の対応の変化および技術革新の重要性が指摘されている。 関連企業へのヒアリングとしては、プラスチックスクラップおよびスクラップ由来原料の流通を担っている企業を対象にオンラインで実施した。海外向けの廃棄プラスチックの流通の状況としては、中国の禁輸後はASEAN地域を中心とした規制の緩い地域への輸出がシフトしているものの、①船社が廃棄プラスチックの取扱いを抑制、②受け入れ国の規制強化、③バーゼル条約追加による日本側の輸出規制などを理由に、国内回帰の動きが強いことが確認できた。一方で、日本国内は需要側の品質の要求が高く、コスト増のリスクや技術革新の必要性が確認できている。 加えて、食品分野におけるフードロス削減に関しても、同種の廃棄物削減の取り組みとして調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展している。注目する意義、および影響の測定の重要性が確認できた。加えて、他分野の廃棄物削減と含め、包括的に知見を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、早い段階で国際貿易フローの統計データを回収し、集計レベルでどのような影響が見られるか、因果推論による因果効果の検証を行う。バーゼル条約が2021年に発効したため、2021年までのパネルデータを利用することで、中国の規制前、規制後、バーゼル条約発効後での違いを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、打ち合わせ等をオンラインに移行したため、旅費の支出がなかった。その分、翌年度以降に購入予定の物品をR3年度に購入した。
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