研究課題/領域番号 |
21K01490
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
中村 豪 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60323812)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 企業間取引 / マークアップ / 生産性 / 市場競争 / 無形資産 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度までに見出した分析結果をより深く理解するために、周辺的な分析を行った。 本研究課題の主たる分析指標である企業のマークアップについては、その意味の解釈はさまざまにありうる。そこで上場企業に限ったデータセットを改めて構築し、そのコロナ禍における変動について探った。分析の結果、コロナ禍では平均的にマークアップの低下が見られたものの、それらは一時的な現象にとどまるものであった。ただ、この時期のマークアップの変動とシェアの変動には正の相関が見られ、マークアップの変動と研究開発投資の間にも正の相関が見られた。すなわち、コロナ禍でもマークアップを高めていた企業はシェアを拡大させており、またイノベーションにも積極的に取り組んでいたことになる。これらの結果から、日本においても企業間のマークアップ格差が広がる傾向が見られ始めていることが窺える。 また、現在企業が直面している状況からすると、データ資産のような無形資産が持つ役割も重要であると考えられる。企業間の取引においてもさまざまなデータが発生しているはずであり、それが企業の生産性などを通じ、マークアップや存続確率に影響することもありうる。また、どのような企業間取引の関係を持つのかによって、収集したデータを活用する態様なども異なりうるであろう。 そのような問題意識も持ちつつ、データ資産と生産性の関係について定量的な分析も進めているところである。現時点で得られている分析結果からは、特にいわゆる「リアルタイム・データ」(ウェブでの反応記録や機械・機器の動作記録など)が生産性に及ぼす効果が重要であることが見出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度・23年度と本務校において学部長を務めることとなり、研究に向けられる時間が大幅に制限されることになった。また2022年度後半に子供が生まれ、育児負担が生じたことも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の研究期間を1年延長することとした。 改めて2023年度における分析も踏まえ、企業活動におけるマークアップの意味や無形資産の役割についても考慮しながら、2022年度までに得られていた観察事実を説明する理論の探究に力を入れる。企業間取引関係と企業のパフォーマンスについての研究は、諸外国のデータを用いたものがいくつか出てきており、それらも中心に本研究課題の理論的な枠組みの強化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、2023年度は研究の進捗が予定よりも遅れることとなった。それにより、研究費の執行も遅れる結果となっている。改めて2023年度に実施する予定だった活動に取り組むことで、研究費の適正な執行を進める。
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