研究課題/領域番号 |
21K01492
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
及川 浩希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90468728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イノベーション / マッチング / ミスアロケーション / 特許 / 経済成長 |
研究実績の概要 |
本研究は、経済成長政策を論じる上で、企業と被雇用研究者のミスアロケーション(配分の非効率性)に焦点を当てる。研究開発プロジェクトに携わるのは研究者・技術者だが、遂行するプロジェクトを決定するのは企業であるため、プロジェクトの質と研究者の質が合っているとは限らない。そこで、特許データと企業データを用いて企業と研究者のマッチングを割り出し、それぞれのイノベーション能力を識別するとともに、ミスアロケーションの程度を推定する。そして、企業と研究者のマッチング構造を内生的経済成長のモデルに組み込み、シミュレーションを行うことにより、ミスアロケーションを解消した時に可能となる潜在的な経済成長と、望ましい政策介入のあり方を示すことを目的とする。
昨年度は,本研究の第一段階として,企業の研究開発活動における効率性を,研究者側の貢献度と企業側の貢献度への分解をおこなった.その結果,アメリカの特許文書に現れる企業と発明者のマッチングでは,良い研究者が良い企業に雇用されるアソータティブ・マッチングの関係があることが明らかになった.また,質調整した特許数で計測した研究成果の分散分解によれば,企業の能力に関わる要素の説明力は,研究者の能力単体での説明力に匹敵する.ただし,アソータティブ・マッチングと言っても完全なものではなく,相関係数は0.4程度だった.したがって,より良いマッチングが生じれば,全体的な研究開発の効率性は上昇する.試みに,人為的なマッチングを与えて,企業と研究者間の能力の相関係数を1に持っていく仮想実験を行うと,トータルでの研究開発成果は20%程度上昇することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特許データを用いた研究開発の能力分解はある程度の結果が出た.頑健性のチェック等,必要な作業は残るが,実証分析の第一段階は完了している.
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今後の研究の推進方策 |
実証結果の頑健性のチェックが本年度最初の課題である.それには,現在のデータのサンプル期間を伸ばすことと,企業の財務データと接続してより多くの企業属性をコントロールすることで進める.もう一つの課題は,理論モデルの構築である.不完全なアソータティブ・マッチングを生み出すメカニズムを明確にすることで,その改善策と経済成長への定量的な効果を分析することができる.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会が中止になるなど,主として海外学会出張のために計上していた旅費の支出が行われなかった.今年度は,アメリカを中心にある程度の学会が現地で行われる見込みである.
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