研究課題/領域番号 |
21K01496
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 教授 (40229703)
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研究分担者 |
大洞 公平 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70388354)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 耐久財 / 認識不足消費者 / 垂直的品質差 / 市場参入 / 先発企業 / 後発企業 |
研究実績の概要 |
令和3年度は研究計画の初年度である。まず研究代表者と分担者の間で個人の限定合理性研究と産業組織論研究に関する共通認識を確認するために、個人の限定合理性を産業組織論研究に応用した2本の研究論文を熟読した(6月末まで)。このうちの1本の論文のモデルが我々の研究課題に応用可能であると判断し、研究代表者である水野が7月から10月にかけてモデル作成とその分析作業に当たった。11月以降、月1回のオンラインによる研究打ち合わせによってモデルと分析の修正・拡張を試みた。 その結果、3月上旬には"Preemption and Product Differentiation with Non-Savvy Consumers: A Real Options Approach"という研究論文の第1稿が仕上がった。この論文では、耐久財業界における先発企業と後発企業が提供する製品の垂直的品質差に注目し、認識不足(non-savvy)消費者の存在割合と垂直的品質差が先発企業と後発企業の市場参入タイミングにいかなる影響を及ぼすかを分析している。分析により、コア財と追加サービス各々に品質差があるケースを扱っている。分析結果は垂直的品質差のあり方によって、認識不足消費者の割合が先発企業の参入タイミングと後発企業の参入タイミングに与える影響は一様ではないことがわかった。例えば、後発企業がより良い品質の製品を提供している場合、認識不足消費者の割合が減少すると、先発企業の市場参入は遅くなる一方、後発企業の市場参入は早くなる。 この論文の第1稿を完成させ、令和4年度には第1稿を他大学のセミナー、国内学会、国際学会で報告し、コメントを得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、第1稿を2月末までに仕上げ、3月頃から他大学での報告準備に入る予定であった。ところがモデル設定とその分析の拡張・改訂を6回程度行い、分析作業に予想以上の時間を要したため、現時点では分析の最終チェックを行っている段階であり、第1稿もまだ日本語ノートの状態である。分析の最終チェック終了後、日本語ノートをもとに英文論文に仕上げ、それが第1稿となる。よって研究計画と比較すると、概ね2ヶ月程度の遅れと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の4月から7月までに第1稿をもとに国内の大学のセミナー報告を1回、8月から11月までに2回目のセミナー報告をする。セミナーでのコメントを受けて、第1稿の改訂作業を行い、令和4年度中に国際学術雑誌に一度投稿をしたいと考えている。 さらに令和4年度中に関連する課題の(具体的には、垂直構造と接続料金を扱う)2本目の研究に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題に関連した既存研究の状況を調べるために、国際学会への参加を計画していたが、コロナ禍のため、海外出張が不可能であった。研究状況を調べるための国際学会参加は令和4年度内に実施する予定である。
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