研究課題/領域番号 |
21K01499
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
飯田 健志 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (40584561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境技術移転 / 民営化 / 環境税 |
研究実績の概要 |
本研究では、途上国における民営化が先進国から途上国への環境技術移転に与える影響を理論的に分析する。これまでの研究は、環境技術を所与とした下で、民営化が環境的側面からも正当化される条件について分析しており、「国際環境技術移転が可能な場合に途上国における民営化が環境的な側面からも正当化される条件」に関してはあまり議論してこなかった。本研究の目的はこの点を明らかにすることであり、本研究により国際環境技術移転が可能な下での途上国における民営化の役割について理解できるようになる。 今年度は、基本モデルの構築をおこない、途上国における民営化が先進国から途上国への環境技術移転に与える影響について、理論分析をおこなった。主な結果としては、移転される環境技術の質によって、民営化が途上国の社会厚生の観点から正当化されるケースと正当化されないケースが存在することが明らかになった。 特に、移転される環境技術水準が高い(汚染削減効果が大きい)場合には、民営化は途上国の社会厚生を減少させる(国営の時と比べて)という結果となった。 一方、移転される環境技術水準が低い(汚染削減効果が小さい)場合には、民営化が正当化される。 今後は、基本モデルで得られた結果の直観的な解釈を明確にするとともに、基本モデルを拡張し(企業数の増加や企業数の増加に伴う契約形態の変化など)、今年度得られた結果がどのような影響を受けるかを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は基本モデルの拡張までおこなう予定であったが、基本モデルの構築に時間がかかり、基本モデルの結果しか得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、基本モデルの拡張をおこない、今年度得られた結果がどのような影響を受けるかを明らかにする。特に、基本モデルでは、途上国企業は一社しか存在しないため、企業数が増えた場合の結果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより、出張等での支出ができなかったため。 今年度は、基本モデルや拡張したモデルの結果を論文にとまとめる予定であり、その際の英文校閲費や学会参加等の旅費として使用する。
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