本研究の目的は、過去30年余に渡り、申請者が国際機関、我が国政府、途上国政府、国際開発の大学院において実施して来た経済開発政策についての政策対話、人材育成、これを支える政策研究、中でも直近の20年弱の期間の科研個人研究および国際共同研究で蓄えられて来た途上国経済開発政策、制度改革についての知見とデータ、計算可能な一般均衡分析モデル等の政策シミュレーションモデルを活用し経済開発政策を整理統合提示することにある。 時空と地理を超えて政策ケースを整理統合して比較評価する、マクロやセクター/メソ次元の政策の「付帯環境条件コントルール型比較ケース分析」の確立と実施を目指し、これにより、従来の諸国横断型やプール型の計量分析において固定効果(Country/Time Fixed Effects)としてブラック・ボックスに押しやられていた、インクルーシブな経済開発に実は大変重要な要素や、世界経済環境等の途上国のコントロール外にあり、国際開発協力コミュニティがそのガバナンスに責を負うべき要因をあぶりだすことを目指す。研究の質確保には現地施政者の知見の活用が望まれる。 一昨年度までにインドネシアを対象に、本研究の指向するインクルーシブな開発を目指す諸政策の比較吟味に繋がる、貧困や格差(所得格差、地域間格差)の長期に渡る動向把握とその要因分析を行い、2篇の学術論文として公表してきた。昨年度今年度と続いて、引き続き現地調査が行えない中、大変時間のかかる作業であるが、類型化と計量分析のアウトライヤー特定の試みを続ける中で、インドネシア、タイ、ガーナの協力者とZOOM協議等を進めた。残念ながら今年度後半は3度に及ぶ手術治療が必要となる等医療事由により、研究活動を休止せざるを得なかった。R6年6月には本研究を個人研究として再開し、書籍完成まで今後数年を費やして成果をまとめて行きたい。
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