研究課題/領域番号 |
21K01503
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
山口 雅生 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (50511002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 実質賃金率 / 名目賃金率 / 労働生産性 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
2021年度は、国民経済計算統計とその産業別のデータを国際比較できるように集計されている、EUKLEMSデータベースを用いて、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの実質賃金率と労働生産性の記述統計を作成し、その要因分解分析を行い、日本の所得分配と実質賃金率の特徴について、明らかにした。
2000年から2015年にかけて日本の時間あたりの名目賃金率は6.4%減少し、物価が9.9%下落することで、実質賃金率は3.4%上昇している。一方、各国のそれは、名目賃金率が28.9%~49.6%上昇し、物価が16.8%~31.0%上昇する形で実質賃金率が上昇している。日本だけが名目賃金も物価も下落するという、特殊な状況となっている。また日本では雇用者報酬が6.3%下落し、雇用者の総労働時間が0.2%増加している。日本以外の国では、雇用者報酬が32.6%~61.6%上昇し、労働時間が3.8%~12.0%上昇している。
この背後には、次のような日本経済の特徴が存在する。日本は、名目経済成長率<実質経済成長率となっているが、日本以外の国は、名目経済成長率>実質経済成長率となっている。日本は、雇用者報酬増加率<実質賃金率上昇率となっているが、日本以外の国は、雇用者報酬増加率>実質賃金率上昇率となっている。日本は、実質経済成長率が他国と比べて低く、名目経済成長率や雇用者報酬増加率は、平均的にマイナスになっている。以上のことから、雇用者報酬が下落する経済と上昇する経済で、実質賃金率上昇率に大きな差をもたらすことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究時間の確保が、思うようにできていないため。
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今後の研究の推進方策 |
事業所・企業統計、経済センサス基礎調査、経済センサス活動調査、経済構造実態調査、賃金構造基本統計調査の調査票の利用申請を行い、事業所の特徴と賃金データを接続したデータ(Matched employer-employee data)を用いて、日本の実質賃金率の長期的な停滞要因を事業所レベルの統計から分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が遅れているため、研究費の使用が滞った。 統計関連の書籍、最新のソフトウェアの購入を計画している。
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