• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

ロボットや人工知能技術などの技術革新が労働市場に与える影響の理論・数量分析

研究課題

研究課題/領域番号 21K01525
研究機関東京都立大学

研究代表者

宮本 弘暁  東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (10348831)

研究分担者 工藤 教孝  名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80334598)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード労働市場 / 技術革新 / ロボット・人工知能技術 / 失業 / サーチ理論
研究実績の概要

本研究の目的はロボットによる自動化や人工知能(AI)技術などの技術革新が労働市場、とりわけ雇用、賃金に与える影響を労働市場の摩擦を考慮した動学的一般均衡(DGE)モデルを用いて、カリブレーションならびにシミュレーションの手法で理論的・数量的に分析することである。
2021年度は研究分担者の名古屋大学経済研究科の工藤教孝教授とともに、AI技術やロボットなどの高度科学技術を明示的に組み込んだ労働市場の摩擦を考慮したDGEモデルを構築し、シミュレーションの手法により、技術革新が雇用・賃金に与える影響を理論的、数量的に分析した。
研究成果は"Robots and Unemployment"という学術論文にまとめ、国内のセミナーで発表するとともに、査読付き海外学術雑誌に投稿し、現在、審査中である。工藤教授とは、本研究で中心的な労働市場の摩擦を考慮した理論モデルについて、"Time Aggregation and Unemployment Volatility" という論文も作成中である。
また、経済政策や制度が技術革新が経済に与えうる悪影響をどのように軽減できるかについて理論分析を行い、その結果を"For the Benefit of All: Fiscal Policies and Equity-Efficiency Trade-offs in the Age of Automation"という論文にまとめた。この論文は国際通貨基金(IMF)のワーキングペーパーとしてファイルされている。
さらに、AIやロボットによる自動化など現在進行中の第4次産業革命が雇用に与えうる影響を広く一般に伝えるため、『101のデータで読む日本の未来』(PHP研究所)を執筆、出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2021年度は、AI技術やロボットなどの高度科学技術を明示的に組み込んだ労働市場の摩擦を考慮したDGEモデルを構築し、シミュレーションの手法により、技術革新が雇用・賃金に与える影響を理論的、数量的に明らかにすることを目指した。研究分担者の名古屋大学経済研究科の工藤教孝教授とともに分析をスムーズに進めることができたため、その成果を"Robots and Unemployment"という学術論文にまとめ、国内のセミナーで発表するとともに、査読付き海外学術雑誌に投稿した。

また、本研究では、経済政策や制度が技術革新が経済に与えうる悪影響をどのように軽減することができるかを明らかにすることも目的であるが、IMFと共同で"For the Benefit of All: Fiscal Policies and Equity-Efficiency Trade-offs in the Age of Automation"という論文を作成、IMFワーキングペーパーとしてファイルした。

今後の研究の推進方策

今後は、まずは2021年度に海外学術雑誌に投稿した"Robots and Unemployment"が出版されることを目指す。また、名古屋大学の工藤教授との共同作業を通じて、本研究で使用している摩擦を含む労働市場モデルについて、いくつか研究課題が出てきたため、それらについても今後、研究を進める予定である。
2021年度に行ったIMFとの共同研究は特に労働市場に焦点を当てたものではなかったため、今後はAI技術やロボットなどの高度科学技術を明示的に組み込んだ労働市場の摩擦を考慮したDGEモデルにおいて失業給付、最低賃金、解雇規制などの労働市場に関する規制や制度が、技術革新が労働市場に与えうるマイナスの影響をどう軽減できるかについて検討する。

次年度使用額が生じた理由

複雑なプログラムによる莫大な計算処理を要するため、既存コンピュータの大幅なバージョンアップ、あるいは更新が必要である。当初の計画では2021年度にこれらの研究環境の整備を行う予定であったが、研究の進捗状況に応じ、これらの予算を次年度に繰り越すこととした。また、本研究の遂行に当たってはセミナー報告等を通じて外部専門家から助言を頂く予定であったが、新型コロナウイルス感染流行により出張ができなかったため、その予算も次年度に繰り越すこととした。
当初の予定通り、生じた次年度使用額はコンピュータ、ソフトフェアの更新、執筆予定の論文を国内外で発表するための出張費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] How does population aging affect the effectiveness of fiscal stimulus over the business cycle?2021

    • 著者名/発表者名
      Honda Jiro、Miyamoto Hiroaki
    • 雑誌名

      Journal of Macroeconomics

      巻: 68 ページ: 103288~103288

    • DOI

      10.1016/j.jmacro.2021.103288

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Mitigating Long-term Unemployment in Europe2021

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto Hiroaki、Suphaphiphat Nujin
    • 雑誌名

      IZA Journal of Labor Policy

      巻: 11 ページ: 1~27

    • DOI

      10.2478/izajolp-2021-0003

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Effects of a banking crisis on credit growth in developing countries2021

    • 著者名/発表者名
      Uch Raksmey、Miyamoto Hiroaki、Kakinaka Makoto
    • 雑誌名

      Finance Research Letters

      巻: 43 ページ: 102004~102004

    • DOI

      10.1016/j.frl.2021.102004

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 米国における不況と雇用・失業対策2021

    • 著者名/発表者名
      宮本 弘曉
    • 雑誌名

      社会保障研究 = Journal of Social Security Research

      巻: 6 ページ: 114~129

    • DOI

      10.50870/00000228

  • [雑誌論文] 米国の所得格差と経済政策2021

    • 著者名/発表者名
      宮本 弘曉
    • 雑誌名

      国際問題

      巻: 703 ページ: 5~14

  • [雑誌論文] Effectiveness of Fiscal Policy in Aging Economies2021

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto Hiroaki、Yoshino Naoyuki
    • 雑誌名

      Public Policy Review

      巻: 17 ページ: 1~18

  • [雑誌論文] Reconsideration of the “Domar condition” to check sustainability of budget deficit2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshino Naoyuki、Miyamoto Hiroaki
    • 雑誌名

      Public Policy Review

      巻: 17 ページ: 1~12

  • [学会発表] 米国の所得格差と経済政策2021

    • 著者名/発表者名
      宮本弘暁
    • 学会等名
      『国際問題』ウェビナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Robots and Unemployment2021

    • 著者名/発表者名
      宮本弘暁
    • 学会等名
      関西労働研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Robots and Unemployment2021

    • 著者名/発表者名
      宮本弘暁
    • 学会等名
      東京労働経済学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Robots and Unemployment2021

    • 著者名/発表者名
      宮本弘暁
    • 学会等名
      経済学セミナー・東京都立大学
    • 招待講演
  • [図書] 101のデータで読む日本の未来2022

    • 著者名/発表者名
      宮本 弘曉
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      PHP研究所
    • ISBN
      4569851126
  • [備考] 個人ホームページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/hiroswebsite/research-1

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi