研究課題/領域番号 |
21K01537
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
WANG WEITING 千葉大学, 国際未来教育基幹, 特別語学講師 (30572648)
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研究分担者 |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中等職業学校 / 技能実習生 / 単純労働 / 人口 |
研究実績の概要 |
外国人技能実習機構業務統計概要(2021)によると、日本では技能実習生が働いている業種の多くは「塗装、溶接、機械金属関係」である。本研究は各業種の技能実習生に着目する予定であるため、2021年度はまず「塗装、溶接、機械金属関係」の労働者を育つ中国の中等職業学校について考察した。 中国政府が2020年に公表した「最も人手不足の職業100種」のには自動車関係の塗装工や溶接工等が挙げられている。先行研究と中国での事例研究の分析結果によると、これらの職種はこれまで中国では中等職業学校での教育訓練は行われていなかったが、近年は中等職業学校の教育改革が進められている。中等職業学校で教えられるような技術レベルの低い職種が消滅する可能性があるため、多くの中等職業学校は存続できるかどうかという問題に直面している。日本は2019年4月より特定技能という在留資格を創設し、「単純労働」に分類されるような業種で外国人を積極的に受け入れる方向に舵を切った。中国では逆に単純技術労働者の職場が失われているなか、海外での需要が増えれば、中等職業学校にとってはチャンス到来といえる。中国国内における単純技術労働者に対する需要が減少する一方で、日本で技能実習生の受け入れが拡大すれば、中等職業学校の存続も可能となる可能性がある。 また、中国における人口動態の影響について考察した。中国の総人口は2021年に前年に比べて48万人しか増えず、人口減少が数年のうちに始まりそうである。日本へ多くの技能実習生を送り出してきた東北三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)では国有企業の衰退により人口の大幅な減少が生じている。労働年齢人口が南部などに流出しており、東北三省では人口の高齢化が急速に進んでいる。日本の中国からの技能実習生の受け入れは東北三省からが多かったが、こうした人口動態から考えると実習生を募集する地域を再考する必要がありそうだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はアジアの訪日技能生に関する資料の収集、研究会の開催、学会発表と技能生に対するインタビューした。また、ベトナム技能生を管理している会社との会談もでき、貴重な情報を得ることができた。しかし、コロナの影響でインタビューした技能実習生の人数や業種がまだ少なく、予定していた数には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は引き続き技能実習生に関する資料収集、ベトナム技能実習生のインタビュー調査、職場及び監理財団へのインタビュー調査を行う予定である。2021年度に未完成となっている各業種の技能生及び技能生を雇用している会社に対するインタビューを引き続き実行する。また、経済学の視点からだけではなく、社会学の視点からも技能生に対して、来日後の生活状態や直面している問題、日本における異文化教育などの角度から研究を進めたい。
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