研究課題/領域番号 |
21K01553
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研究機関 | 岡山商科大学 |
研究代表者 |
國光 類 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (80737685)
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研究分担者 |
佐々木 昭洋 岡山商科大学, 経済学部, 講師 (20807713)
熊代 和樹 岡山商科大学, 経済学部, 講師 (30823124)
三谷 直紀 岡山商科大学, 経済学部, 特任教授 (70219666)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ナッジ / 高齢者 / 労働供給 / 行動経済学 / 労働経済学 |
研究実績の概要 |
本研究では、岡山県瀬戸内市との共同で、高年齢者の労働供給に関するナッジ戦略の策定および介入効果の検証を行う。アンケート調査を実施する事前準備として、高年齢期の就業を妨げる心理的バイアスを特定するために、「くらしと健康の調査(JSTAR)」のパネルデータを分析した。主観的健康感や引退前の仕事など、先行研究で指摘されてきた要因の頑健性を確認するとともに、時間割引率やリスク回避が高齢期の引退過程に与える影響について検証した。 また、高齢者の労働供給を促すことを目的に、ユニバーサルデザインに配慮したデジタル求人票の開発を行っている。瀬戸内市では2020年に「ゆめワークせとうち」を開設し、相談業務を行っている。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により相談件数は伸び悩み、非接触での情報供給が望まれている。しかし、デジタル求人広告は取扱件数が多く、高齢者にとって情報負荷は大きい。 そこで、文字だけではなく、写真や規範的メッセージを強調したデジタル求人広告の有効性を検証する。実際にあった求人を基に、写真で仕事内容を共有する「画像優位性効果」の検証を行うとともに、給料ではなく「やりがい」や「今後の目標」を記載した求人票と比較することで「内発的動機付けのクラウディングアウト」について検証する。2021年度は、これらの先行研究の調査を行うとともに、理論的な裏付けを試みた。 これらの結果を踏まえて、2021年7月に瀬戸内市でアンケート調査を実施する予定である。瀬戸内市との交渉は終わっており、現在は調査票の精査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた「中高年者縦断調査」でのパネルデータ分析は、時間選好率やリスク回避に関する調査項目がなく、行動経済的な分析を行うのに不向きであった。そこで、「くらしと健康の調査(JTAR)」のデータに切り替えることで、当初の目的は達成された。ただし、データ申請から入手までに時間を要し、2021年度中に分析結果をまとめることは困難であった。今後は分析内容を精査し、2022年度中の学会報告を目指す。 また、瀬戸内市でのアンケート調査に向けて交渉を重ねてきた。アンケートに関する理解を得るとともに、行政ニーズをヒアリングし、研究と社会貢献の両立を目指してきた。アンケート調査の交渉は終えており、2022年7月に調査を実施する目途は立っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年の9月までに、リサーチアシスタントによるデータ入力を終え、集計結果を11月までに速報としてまとめる予定である。瀬戸内市が受託した厚生労働省の「生涯現役促進地域連携事業(R2開始)」の事業期間が2022年度で修了するため、今後の事業継続にあたってエビデンスを提供する予定である。また、Jstarの分析結果を学会で報告するとともに投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
JSTARの利用申請から入手まで時間を要し、STATAによる分析は購入を見送り、研究者の私物で行った。今後、アンケートの分析で研究分担者との連携が必要なため2022年度に購入する。
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