本研究の目的は,銀行経営者の自信過剰が銀行の資産ポートフォリオ構成に与える影響を理論的・実証的に検証することである。バーゼルIII規制において,流動性カバレッジ比率規制・純安定調達比率規制等が導入される中,銀行が高品質の流動資産を保有することの重要性が強調されてきた。本研究では,米国銀行データを用いて,自信過剰な経営者によって経営されている銀行の流動性比率は低く,その資金調達コストは高くなるという結果をえ,自信過剰指標が金融危機時において流動性不足が生じる確率に正の影響を与えるという結果もえた。純安定調達比率規制・流動性カバレッジ比率規制などに関する重要な政策的インプリケーションをえた。
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