研究実績の概要 |
(1)Cashless payment methods and COVID-19: Evidence from Japanese consumer panel data は2023年9月にJapanese Economic Reviewに採択された。反実仮想実験によると、日常的支払いの現金使用比率はキャッシュレス還元事業が実施されなければ0.04~0.08ポイント、コロナが流行しなければ0.03ポイント高くなったと予想されるとの結果を得た。同論文は、2023年9月開催のドイツ連邦準備銀行の国際会議で発表した。(2)An empirical study of the cash paradox in Japanについては、2023年8月にカナダ銀行のセミナーで発表の機会を得た。専門雑誌からは2023年9月に不採択となり、レフェリーのコメント、カナダ銀行セミナーのコメントを踏まえて理論面、実証面で大幅な改訂を行い、あらたな論文を作成する準備を行っている。 (3)Central Bank Digital Currency, Crypto Assets, and Cash Demand: Evidence from Japanについては昨年専門誌に掲載されたほか、2023年6月のカナダ経済学会、2023年8月の全米統計学会におけるカナダ銀行主催セッションで発表し、意見交換を行い、今後の研究の課題の発見につながった。本研究の目的は、「日常的な支払いにおいてはキャッシュレス化が進展する中で、現金需要の総量が拡大しているのはなぜか」という問いに答えること。(1)(3)によりキャッシュレス化の進展とキャッシュレス還元事業との関係、コロナ流行との関係、暗号資産保有との関係に関する新たな知見を提供することに成功した。(2)により、家計の資産目的による現金保有額が大きいことが確認できた。
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