研究実績の概要 |
2022年度の主な研究成果として,辻村(2022,同志社商学), Imai and Tsujimura(2022)とTsujimura and Yoshioka(2023)について述べる。 まず,辻村(2022,同志社商学)は,不確実性下における経済主体の諸問題を,その特徴に応じた確率制御問題として定式化し,それらの解法について概観した。具体的には,次の4種類の問題について概観した。1.毎時制御を実施する絶対連続制御,2.制御を実施する時刻を求める最適停止,3.状態変数をある範囲内に収めるように制御を実施する特異確率制御,4.同じく状態変数をある範囲内に収めるように制御を実施するが,その制御によって状態変数が離散的に変化するインパルス制御についてである。 次に,Imai and Tsujimura(2022)は,アウトプットの価格に関して曖昧性が存在し,さらには,投資に際して掛かる費用として,凸型の調整費用を考慮した企業の資本投資問題を考察した。曖昧性の取り扱いとして,ロバスト制御の手法を採用し,企業の問題はアウトプットから得られる利益と投資費用の差として計算されるネットの利益を最大とするように投資を決める問題と,アウトプットの価格に曖昧性が存在するため,アウトプットの価格の分布を最悪の場合を考える事によるペナルティーを最小とする問題からならmaxmin問題として定式化された。企業の問題を解析的に解くことはできず,数値的に最適な投資政策を求めた。 次に,Tsujimura and Yoshioka(2022)は,代表的な家計と企業からなる生産経済を考え,労働増加的技術進歩に曖昧性が存在する下で,最適な消費政策を考察した。とりわけ,本研究は技術進歩の頻度に曖昧性がある場合について考察した。中央計画者の問題をロバスト制御問題として定式化し,最適な消費政策を数値的に求めた。
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