研究課題/領域番号 |
21K01574
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
神津 多可思 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, 非常勤研究員 (40598942)
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研究分担者 |
竹村 敏彦 城西大学, 経済学部, 教授 (00411504)
武田 浩一 法政大学, 経済学部, 教授 (40328919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融行動 / 行動ファイナンス / 金融リテラシー / コロナ禍 / インフレ期待 / マクロ安定化政策 / イベントスタディ / リスクリテラシー |
研究実績の概要 |
2021年度において、本研究プロジェクトでは、個人の金融行動(金融資産運用を含む)特性に関する分析の中で、 1) 個人の将来の物価変動率に対する予想に関する分析、2) セキュリティ・インシデント被害等に対する株価の反応に関する分析、3) 金融知識および金融リテラシーに関する分析、を行った。 1)について、神津多可思が中心となり、これまで取り組んできた将来の物価変動率に対する予想に関する分析を整理するとともに、それ以外にも様々な公表データなどを分析・検証することで、今後はどのようなマクロ政策を目指していくべきかを提言している。その中で、供給サイドの変化を促し、スピード感をもって対処していくことの必要性を指摘している。 2)について、竹村敏彦が中心となり、コロナ禍におけるインシデント被害等が企業の株価に与える影響について実証分析を行っている。分析の結果、 インシデントの発生に関する公表が株価の低下をもたらすことが確認されたものの、 統計的に有意となる結果は限定的なものとなっていることなどを明らかにしている。そして、 コロナ禍においてインシデントの発生に関する公表が株価の低下の影響を現れにくくさせていることを指摘している。 3)について、武田浩一が中心となり、2016年に金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査」の個票データを用いて、家計の金融に関するリスク・リテラシー、つまり金融リテラシーの中で金融取引に伴うリスクの認識に関連するリテラシーが、金融資産形成に与える影響について実証分析を行ったものである。リスク・リテラシーの内生性を考慮して操作変数法を用いて分析した結果、リスク・リテラシーが高い個人ほど、多くの金融資産を保有する傾向があることなどを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、2021年度に「金融行動等に関するアンケート調査」を実施し、コロナ禍における現状把握ならびに、その個票データに基づく個人の金融行動特性に関する分析を行う予定であった。しかしながら、調査票の設計において、われわれの研究グループがこれまで行っていた調査票をコロナ禍に対応したものにすべきであるとの意見が出て、調査項目の再検討が行われ、上記のアンケート調査を実施することができなかった。そのため、本年度は、これまでわれわれの研究グループが蓄積してきたデータや他の公表データ等を用いた分析による研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には「金融行動等に関するアンケート調査」の実査はできなかったものの、調査項目の精査が行われたので、2022年度にこの調査を実施し、そこで蓄積された個票データを用いた個人の金融行動特性に関する分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では2021年度に「金融行動等に関するアンケート調査」を実施する予定であったが、調査項目の再検討により、実施できなかった。そのために、次年度使用額が生じた。これらについては、2022年度にアンケート調査の実査により使用される。
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