研究課題/領域番号 |
21K01584
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鶴田 大輔 日本大学, 経済学部, 教授 (40422589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 企業金融 / 中小企業 / 信用保証制度 / 銀行融資 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は2020年に発生した新型コロナウイルス感染症拡大や緊急事態宣言に伴う経済ショック(コロナショック)が、中小企業の経営状況や資金繰りにどのような影響を与え、それに対応して中小企業がどのように資金調達を行ったのかを、大規模な企業レベルのデータベースを用いて明らかにすることである。また、2020年にコロナショックの発生に伴い拡充された中小企業向け信用保証制度についての実証分析を行うことも目的としている。ショック時の信用保証制度は資金制約に直面している中小企業の資金調達環境や資金繰りを改善する一方、リスクが高く退出すべき企業への融資を促すため、市場の新陳代謝を阻害する可能性がある。本研究では、両効果に注目し、過去の政策効果と比較しながら、コロナショック時の信用保証制度の政策評価を行う。 令和3年度の主な研究の概要は以下の通りである。第一に、コロナショック時の資金調達行動について、企業-銀行レベルのマッチデータを使って実証分析を行った。この分析は上場企業のデータを使った分析であり、本研究の予備的な分析である。分析結果をまとめた論文を、海外査読付き研究雑誌(Managerial and Decision Economics)に投稿し、掲載が受理された。第二に信用保証制度を用いた金融機関の越境融資について、都道府県-金融機関レベルのデータを用いて分析を行った。分析の結果を経済産業研究所ディスカッションペーパーとして公表した。第三に、過去のショック(リーマンショック)に焦点を当て、どのような中小企業が資金繰り悪化を受けて、資金調達を積極的に行っていたのかを明らかにした。本分析結果は日本大学経済科学研究所ワーキングペーパーとして公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は本研究課題の初年度であるが、いくつかの論文をすでに公表していることから、順調に研究計画は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は未公表の論文を積極的に研究会等で報告し、必要な改定を行う。そのうえで、海外の学術雑誌に投稿を行い、研究成果を外部に公表する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大により、出張が制限されたことから、旅費が想定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は徐々に出張が再開される見込みであるため、次年度使用額を旅費として使用する予定である。
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