研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、近代の中京地域の工業化を、人的ネットワーク形成の観点から明らかにすることである。近代日本のリーディング産業であった綿紡績業は、企業買収や合併を繰り返しつつ急速な成長を遂げた。奥田正香などの企業家たちが中京財界を形成し、三重紡績株式会社をはじめとして有力企業がいくつも生まれた。この後、中京圏は、綿業を中心に、近代日本の製造業の拠点へと成長していった。
経済史
近年、製造業で存在感を高めている中京圏の歴史的形成過程を明らかにしたことである。中京圏は、産業革命期に主として繊維産業が急速な成長を遂げることで、大企業と中小企業が複層的に展開する工業地帯となった。加えて紡績業は、歴史的にも先駆的にM&Aを実施しながら成長を遂げてきた。この合併交渉の中でも合併企業と被合併系企業の利害も反映されていた。つまり、本研究は、M&Aの歴史的起源を解明するうえでも極めて大きな意義を有しているのである。