研究課題/領域番号 |
21K01608
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
池尾 愛子 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70176080)
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研究分担者 |
大槻 忠史 摂南大学, 経済学部, 講師 (20809066)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本経済思想 / 天野為之 / 学理と実際 / 朝河貫一 / E.F.ペンローズ / 名古屋高等商業学校 / 長崎高等商業学校 |
研究実績の概要 |
池尾の天野為之伝の和文原稿は2021年9月に完成し、2022年初めに、京都のミネルヴァ書房から出版の約束を得ている。出版年が未定のため、英文原稿は日本語での出版時期を見計らって完成させる。ニュージーランドのボラード氏の『戦時の経済学者達』(A. Bollard, Economists at War, Oxford University Press, 2020)の国際レビュー・プロジェクトはうまくいかなかったが、ボラード氏本人の承諾を得たうえで、池尾の批判的書評が英文で学内誌に掲載された。 大槻は、論文”The Economic Research of E. F. Penrose in Japan during 1925-30” において、E.F. ペンローズが名古屋高等商業学校において、日本初となる生産数量指数を作成したことに注目し、その概要と意義を考察した。大槻は、論文「日本の近代化と長崎高等商業学校」では、同校における教育と研究に注目してその役割を解明した。 2021年中には、中国にいる研究者とのオンライン交流はうまくゆかなかった。しかし、2022年3月には、池尾は北京大学大学院生向けに2コマ(各3時間)の講義(「天野為之と日本の近代化」、「赤松要の雁行形態論と技術進歩・技術移転」)を実施することができた。 本プロジェクトメンバーは、日本経済思想史学会の会員の一部と協力して英文書籍 A History of Japanese Economic Thought の準備を進めてきている。16世紀以降、400年の歴史をカバーできそうで、本プロジェクトの一環に位置づけることにできるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各個人での研究はほぼ予定通りに進んでいる。新型コロナのパンデミックの影響は国際共同研究や国際会議の場面で出たが、ほぼ想定範囲内であり、延期して対応可能である。 王新生 北京大学教授の来日は延期、従って、G.ディステラート・ボン大学准教授の来日も延期である。王新生教授から、2023年6月に来日する予定であると連絡が入っている。 2021年中には、中国にいる研究者とのオンライン交流はうまくゆかなかったが、2022年3月には、北京大学大学院生向けに2コマ(各3時間)の講義を実施できた。それゆえ、研究交流は続けられると考えている。 日本経済思想史学会と台湾中央研究院台湾史研究所との合同シンポジウム(テーマ「経済思想と産業経営からみた台湾―18世紀から20世紀-」)はさらに延期されている。今年2022年末あたりには小規模会議を(オンラインで)開催し、2023年8月に台北での対面開催を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
池尾は日本語での天野為之伝を確実に出版し、英語版も準備をする。大槻は、赤松要の実証研究が他の高等商業学校(特に地方部)での研究に与えた影響を検討する。 本プロジェクトメンバーは、日本経済思想史学会の会員の一部と協力して英文書籍 A History of Japanese Economic Thought の作成の準備を進めてきている。16世紀以降、400年の歴史をカバーできそうで、本プロジェクトの一環に位置づけることにしたい。2022年5月の日本経済思想史学会全国大会で報告する予定である。近世の経済思想、儒教に基礎をおく議論を描くための英語研究も進める予定である。 日本経済思想史学会と台湾中央研究院台湾史研究所との合同シンポジウム(テーマ「経済思想と産業経営からみた台湾―18世紀から20世紀-」)は延期されて、今年2022年末ありには小規模会議を(オンラインで)開催し、2023年8月に台北での対面開催を目指している。池尾は両方に参加する予定である。 陳洪捷・北京大学教授の中独日共同研究プロジェクトは、2019年10月11日に北京大学教育学院でキックオフ会議を開催したが、COVID-19のため2020年初めから中断したままである。このプロジェクトの参加者のうち、王新生北京大学教授の訪日も延期され、2023年6月からになっており、G.ディステラート・ボン大学准教授もそれに合わせて来日の予定である。ベルリン、東京での研究セミナーの実施は2023年度になる可能性がある。ドイツの社会科学・経済学の英訳可能性や、英訳と和訳の翻訳ギャップについても検討する。陳教授のプロジェクトが再開されれば、参加できるように準備はしておきたい。また、日本の儒教研究は、中国の儒教とは異なる点が幾らかありそうである。口頭発表を通じて確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 感染拡大のため、ドイツや台湾での国際会議が開催されなかった。
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