研究課題/領域番号 |
21K01611
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小笠原 浩太 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00733544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二次性比 / インフルエンザ / 人口変動 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究課題に係る統計解析に用いるデータベースを構築し、データの特徴を把握するための予備的な分析を行った。第一に、府県別の統計を記録した複数の資料を電子化した。これら資料には、複数の年次・地域で非系統的な誤植が含まれており、その修正に想定よりも長い時間を要したが、ほぼ予定通りに整えることができた。第二に、二次性比と流行性感冒死亡率の時空間分布をGISで把握するとともに、時系列方向の変動を識別に利用する統計解析モデルを用いて、それら変数の動学的特徴を調べる予備的な分析を行った。その結果、両変数ともに想定よりもランダムネスのある変動を示すことがわかり、特に流行性感冒の推移は、観測可能な情報を条件付けることで十分利用に耐えうる暴露となることが示された。第三に、流行について刊行資料・新聞等の調査を行い、予備的な分析から得られた特徴と史実との質的な整合性を評価した。第四に、ベースラインの分析に用いることを想定している統計解析モデルの仮定にたいして、データが整合的な変動を示すか否かを記述統計的な方法で評価し、概ね整合的であることを確認した。第五に、国勢調査報告を電子化し、補足的な分析に用いる多次元の性比データを構築した。資料の制約上、暴露の割り当てに制限が生じることがわかったが、層化を行うことで、その問題を部分的に解決した。第六に、既に国際学術誌から改訂要求を得ていた論文について改訂を行い、再投稿後に採択を得て掲載された。査読付き国際会議における論文の採択件数は合計3件であり、代表者はうち2件の報告を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、データベースの構築作業がほぼ予定通りに完了した。主要な変数の変動は予想の範囲内であり、特に憂慮すべき問題は発生していない。また、査読付き国際学術誌への論文掲載が1件、査読付き国際会議での報告は2件であり、これは当初の想定を上回る成果であると考えられる。一方で、国外大学への研究滞在にかんする当初の計画は、パンデミックの影響で残念ながら予定通りに進んでいない。以上から、本研究課題は概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
構築したデータを用いて主要な解析作業に取り組み、解析結果を論文としてまとめる。また、それを査読付き国際会議で報告するとともに、そこで得られたコメントをふまえて、適宜データの修正と、解析方法の改善を行う。国外の大学への研究滞在については状況が許せば行う。既に査読付国際学術誌から改訂要求を得ている論文については改訂作業を行い、採択まで持っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のパンデミックにより、渡航・研究報告を予定していた査読付国際会議がオンライン開催となった。これにより生じた差額は、主に次年度中に開催を予定している国際会議への参加費用として用いる。
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