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2021 年度 実施状況報告書

連続的な価値次元転換メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K01625
研究機関東北大学

研究代表者

山崎 喜代宏  東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40551750)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード製品開発 / 価値次元 / 反復可能性 / プロセス解明
研究実績の概要

本研究は、連続的に価値次元転換が起きるメカニズムの論理を解明するために、研究方法として仮説構築のための探索的な事例分析を採用する。事例分析を通して、繰り返して価値次元の転換を実行できる開発プロセスや製品戦略、組織能力について考察する。既存企業が連続的に価値転換を行うメカニズムを解明することで、コモディティ化に苦しむ企業に対して、理論的・実践的貢献をしたい。
当該年度は、先行研究の検討を行い、その過程で本研究の理論的位置づけを明確化し、概念モデルの提示することを目的として研究活動を行った。先行研究のレビューでは、近年経営学領域でその重要性が議論されているExplorationとExploitation、両利きの経営の先行研究にフォーカスを当てた。
この領域での先行研究レビューにより、ExplorationとExploitationの定義とそのトレードオフに対する理解・前提が研究者により異なることが分かり、それが原因となりその定義が曖昧になる。したがって、概念の定義にはコンティンジェンシーな要因があり、研究対象に応じた定義づけが必要であるため、分析レベルや研究対象を明確化した上で、議論を進めていくことの重要性を確認した。
その上で、ExplorationとExploitationを離散選択モデルではなく、連続体モデルとして捉え、その変遷性に着目して、動態的な概念モデルを提示することとした。こうすることで、片利きから両利き、また両利きから片利きへと変化するプロセスを段階的に捉えられることができ、より詳細な変化の機微を掴むことができると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究期間の初年度であるため、本研究は理論的な位置づけを明確にするため、先行研究のレビューを中心に行った。現在注目を浴びる研究領域、研究概念であるため、多くの先行研究が存在し、古典的な研究から、最新の研究動向に目配せし、可能な限り包括的なレビュー論文を作成することを目指した。
そのなかで、概念の定義やそこからの理論的意義や実践的意義が状況依存的であることがわかってきたため、そのための整理作業が追加された。つまり、経時的な概念の進化過程を明確にするだけでは不十分で、研究がどのような研究対象に対して、どのような定義の前提・理解を持って研究を進めてきたのかを明示的に分析の枠組みに組み入れることで、包括的な理解に繋がるのである。
進捗状況としては、年度ごとの計画通り、先行研究レビューを中心として、そのなかで概念的モデルを構築することを目的としており、それはおおむね順調に進んでいると評価できる。研究開始当初には想定していなかったコンティンジェンシー的な側面への対応も必要であったが、それほど大きな遅れはないと考えている。

今後の研究の推進方策

先行研究レビューの中心に、概念モデルの構築を進めてきた。研究の理論的位置づけが明確になってきたので、続いて、実際の企業はどのような企業行動・意思決定を行っているのか、ケースを用いた分析が今後の研究課題となる。候補となる事例はいくつかあるため、そこへのアプローチを行っていきたい。またすでに分析を行ったケースのなかにも、概念モデルの検証を行える事例があると考えているので、再度見直すことにより、事例分析に厚みが持たすことができるのではないかと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため、訪問インタビュー調査や研究者との対面での研究打合せ、学会での対面での参加が行えなかったため、旅費の執行がなかったため、計画通りの支出とはならなかった。
次年度以降、対面での研究活動が行えるようになった際には、計画通り支出していきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 連続的な価値次元転換メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      山﨑喜代宏
    • 雑誌名

      日本経営学会誌

      巻: 47 ページ: 101-116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Customer information search in the context of e-commerce: a cross-cultural analysis2021

    • 著者名/発表者名
      Alexandru Capatana , Federica Codignola , Jessica Lichy , Kiyohiro Yamazaki
    • 雑誌名

      European Journal of International Management

      巻: 16 ページ: 28-59

    • DOI

      10.1504/EJIM.2020.10022503

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 探索と活用 のフレームワーク に関する一考察2021

    • 著者名/発表者名
      山﨑喜代宏
    • 雑誌名

      TMARG Discussion Papers

      巻: 145 ページ: 1-29

  • [学会発表] A Mechanism for Continuous Shifts in Value Dimensions2021

    • 著者名/発表者名
      Kiyohiro Yamazaki
    • 学会等名
      Innovation and Product Development Management Conference 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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