研究課題/領域番号 |
21K01649
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
篠沢 義勝 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (10897648)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 最高財務責任者(CFO) / データ収集 / 統計分析 / ワーキングペーパー / 査読 |
研究実績の概要 |
具体的内容:令和4年度の研究実績の特筆すべきことは、研究課題である「最高財務責任者(以下CFO)の属性と経営への影響について」、データ収集作業の殆どを終えて統計分析を行い、一定の研究結果を英文の「ワーキング・ペーパー」として海外の研究者と共同で書きあげたことである。このワーキング・ペーパーを主要な内外3つ査読付き学会へ2023年3月末前に投稿、口頭発表(予定)論文として採択されている。具体的には2023年5月(日本金融学会:東京)、6月(アジア・ファイナンス学会:ベトナム)8月(欧州日本研究学会:ヘント(ベルギー)にて発表参加予定である。
実績の意義:初稿としてのワーキング・ペーパーを仕上げた2年度の研究活動は、研究活動と分析内容の視点から有意義なものとなった。すなわち(1)研究推進上では、データの欠損値への対応、データ分析手法の一層の改善余地等が判明し、(2)分析内容に関しては、AIの手法(例えば決定木)など用いて分析結果を出したことである。(2)に関して暫定的ではあるが、主な分析結果としては、日本の上場企業が外国人向け広報活動を実施しているか否かが、企業にCFOが居るか居ないかを決定する要因となっていた。またCFOの経営成績への影響については、会計上での経営成績には影響が無い一方で、株価を用いた経営成績には正の影響を与えることが判明した。
重要性:初稿を仕上げたことの重要性とは、(1)現時点での研究論文が、少なくとも学会発表に値する「量と質」の水準に至った点を確認できた。これは、ワーキング・ペーパーが内外の学会に採択されたという事実から客観的に推測される。(2)今年度前半に参加予定の学会発表での質疑応答を通じて、今後の研究の改善のヒントを得る貴重な機会へとつながる、という2点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で殆どの作業が終えている分野は(a)主要な先行研究の総括、(b)データ収集と整理、(c)データ分析に必要な統計ソフトウエアやブラウザ形式のAI解析システムの入手、(d)データ分析、(e)初稿論文の執筆、(f)査読付き学会への投稿である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、一通りの研究手順を踏まえて「プロトタイプ版の論文」として査読付き学会へ投稿できた。これを受けて今後の研究の推進方針は、研究の質の一層の向上を図り、論文を国際的な査読付きジャーナルへ投稿することである。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年春以前は、コロナ禍による水際対策が課されていた事情で、対面での研究協力者との打ち合わせや海外学会への参加が滞っていた。また一方で、円安や令和4年からの渡航費の急激な値上がりを背景に、令和5年度に予算不足に陥らないように令和4年度中は慎重に費用を管理し、一部を繰り越した。
令和5年4月29日からの入国制限撤廃を受け、これまで控えていた内外の学会発表と共著者との対面打合せを実施する。研究費の残高は、それらの活動に使用する。
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