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最終年度は、「sustainable entrepreneurship」をキーワードとして、Web of Scienceを用いた計量書誌学的アプローチによる体系レビューを実施し、課題の全体像の把握につとめた。その結果、①持続可能な企業家の定義は、起業者的機会からなされるものと、起業者的成果からなされるものとに分けられること、②書誌結合分析から、近年の重要なテーマとして、起業意図、ハイブリッド性、ビジネスモデルの特徴などが取り上げられることなどが判明した。次にこれを前提として、地震被災地におけるサステナブルな復興支援を事例として、SEの起業意図について調査を実施した。インタビュー調査の結果、専門的職業人としてのアイデンティティと反実仮想的思考が起業意図に影響することが明らかとなった。
本研究の全体的成果としては、まずハイブリッド的思考様式について、SEが対処する経済・環境・社会という異なる３つのロジック間の対立をどのように解決するのかが問題となる。これに対して、本研究では企業家は、すべてのロジックを同時に両立させようとするのではなく、段階的に解決すること、最終的に原点回帰的思考によって解決を図ろうとすることが明らかとなった。
サステナビリティを志向したビジネスモデルの構築については、SEの特徴として、外部のネットワークを活用しながらアイデア、人、資源の代替的な組み合わせを促進し、「プラットフォーム」を形成することを志向することが明らかとなった。プラットフォームの運営過程は、協働創出ステージでは、フレーミング，コンビーニング，マルチボカリティといった戦略的行動が見られ、ビジネス展開ステージでは、正当化行動と戦略的妥協という思考様式に変化することが判明した。本研究は、企業家活動が社会のサステナビリティにどのような影響を与えるのかについて重要な示唆を与えるものである。
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