非協力ゲームをベースとしたモデルをいくつかの経営・経済問題へ応用し、いくつかの知見が得られた。具体的には1)組織におけるイノベーションを取りあげ、組織内のメンバーが持つ既存知識と新知識への指向性のバランスが、イノベーションの出現に影響を与えることを明らかにした。2)個人による希少財の転売行為を非協力展開形ゲームとしてモデル化し、生産者と転売者との間の情報の透明性や不確実性の有無によって、均衡の存在に違いが出ることを明らかにした。3)労働者のもつ労働の価値観の多様性を許容しつつ、しかも適切な運用によりベーシックインカム制度が存続可能であり、社会全体での付加価値も大きく損なわれない可能性を示した。
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