研究課題/領域番号 |
21K01668
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
二宮 麻里 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (40320270)
|
研究分担者 |
吉田 満梨 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30552278)
三井 雄一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (00782145)
大田 康博 駒澤大学, 経営学部, 教授 (90299321)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 起業エコシステム / 起業コミュニティ / 地方中核都市 / 越境者 / スタートアップ / コラボレーション |
研究実績の概要 |
今年度は,2本の共同論文の作成を通じ、福岡を先端事例として地方中核都市における起業家の成長とコミュニティの形成プロセスを明らかにした。 上場会社の事例を通じ、起業家と自発的パートナーとのコラボレーションにより、新たな起業目的が形成される一貫したパターンを確認し、さらに起業家が形成したコミュニティについて分析をおこなった。起業が不活発な地方社会において、起業家がどのようなプロセスで起業し、上場まで成長したのか、そして起業コミュニティの形成したのかをとりあげた。福岡で起業が活発化した背景には,県の産業振興やベンチャー支援のために活動した個人や組織の存在があったことを下記の三つの視点に基づき抽出した。 第一に,産業振興や起業支援をめぐる県,市,民間の取組が成功裡に終わらなくとも,継続される中でそこで活動する人々の経験は移転され,共有されたプロセスを確認した。 第二に,業種,職業,組織に分散している資源を結集させ,効果的な協働を実現するには,それらの社会的境界を超える人物や組織が必要だということを分析した。越境者は,情熱や信念から自ら行動を起こすことが多かった。その試みは当初は小さなものであったが,成果をあげるにつれて,より大きな組織体制で実践する機会を得ていった。 第三に,起業支援の対象についてである。特別な経営スキルや豊富な資源を持ち合わせていない者でも起業に挑戦できる街を作ろうとする試みを,「起業の民主化」と表現した。こうしたアプローチは,高成長ベンチャーを選択的に支援すべきとする海外の起業エコシステム研究とは異なるものだが,福岡の経験は,起業そのものが不活発な社会では,まず起業を民主化することが効果的である可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査結果から重要な分析視角を抽出することができ、研究成果を論文として発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
近年,大きな成果を生みつつある,大学発ベンチャーについて、研究に着手したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
追加調査の必要があったため。
|