研究課題
本研究の目的は、組織における情動知能(emotional intelligence)について、その「功」と「罪」それぞれをもたらすメカニズムや、異なる結果が生じる条件について明らかにすることである。ベトナムとミャンマーの研修機関の研修参加者や現職を持つ経営大学院の学生を主対象に、1. 文献レビューに基づいて、分析枠組み・方法論を精緻化、2. 1の枠組みを用いた企業経営層・従業員及び現職を持つ経営大学院の学生のインタビューに基づく情動知能の功罪に関する探索的事例分析(以上2021年度)、3. 情動知能の個人レベルの効果に関する研究(2022年度)、4. 情動知能が個人・職務特性と個人レベルの成果を調整するモデルを用いた分析(2023年度)をそれぞれ実施した。とくに2023年度の実証研究では、具体的には対象国であるベトナムとミャンマーの学生や研修機関等の利用者に質問票を配布して、情動知能、成果、媒介変数、調整変数候補を含む個人・職務特性に関する情報を入手し、功罪それぞれの経路を特定する因果媒介分析を実施した。本分析に先立ち、観察データを用いることを考慮して、Coarsened Exact Matchingを行って。分析の結果、個人特性による調整も見られるものの、概ね功罪それぞれの効果が生じていることが確認できた。同研究は、過年度の国・組織レベルの文化、個人特性による調整の重要性を明らかにした文献レビュー、個人の態度や行動、社会的関係に焦点を絞って実施したインタビューに基づく探索的事例分析、ベトナム(情動知能とレジリエンスの関連)と当初の対象国ではないスリランカ(情動知能研修が組織市民行動等に及ぼす効果)で行った実証研究結果を踏まえたものであり、4つの研究全体として所期の目的を概ね達成できたと考えられる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Behavioral Sciences
巻: 14(4) ページ: 276
10.3390/bs14040276
International Journal of Emerging Markets
巻: ahead-of-print ページ: ahead-of-print
10.1108/IJOEM-11-2021-1759