研究課題/領域番号 |
21K01677
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
石田 祐 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (20455554)
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研究分担者 |
岡田 彩 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30707360)
中嶋 貴子 大阪商業大学, 公共学部, 講師 (90802736)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 災害 / NPO / マネジメント / ボランティア / 政策起業 |
研究実績の概要 |
非営利組織 (NPO) は、緊急期、復旧・復興期、静穏期・平時の「災害サイクル」の中で、支援からの撤退や途中参入、役割の変更などの意思決定を行う。それを左右する要因には、 組織の内部の体制や外部環境としての予算などがある。実際の地域課題に目を向けると、平時に地域が有する問題が災害により顕在化したものが多く、それゆえに長期的な対策が必要とされている。そのため、NPOの持続的な活動が期待される。また、組織が持続的に経営される必要もある。そこで、(1)災害復興下において支出された資金をそれぞれのNPOがどのように、またどれだけ獲得したか、(2)獲得した資金によって、どのように財務構造や人事、事業展開に影響したか、(3)持続的なサービス供給の可能性にどのような影響を与えたか、を明らかにすることを目的とした。 それらを明らかにするために、財務書類を収集してデータセットを作成するとともに、NPOへのインタビュー調査データ実施し、分析するためのデータを構築した。計量分析および質的分析を行なった結果、組織における人材育成のあり方や資金調達の方法について工夫し、東日本大震災から10年という時間の中で、組織基盤を確立する動きが進んでいることがわかった。一方で、組織運営をボランティア中心に進めるという体制変更を行う団体もあった。そのような実態が明らかとなり、社会的インパクトを生み出すための組織の変容については多様な方向性や着地点があることを見出すことができた。さらには、ソーシャルビジネスで解決しえない部分について、行政との協働を強めたり、政策に影響を与える政策起業というあり方についての議論を喚起することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データセットの作成やインタビュー調査を多く実施することができた。また、研究成果をいくつかの論文として刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
データセットの構築を進め、パネルデータでの分析が行えるようにしていく。また、インタビュー調査についても引き続き重ねることで、多様な戦略や経営手法について情報を取り込む。Zoomでのインタビューが多くなってきたが、移動可能性が見出せる地域については、現地の活動状況や影響を参与観察できるようにしていくことで、研究の精緻化および深化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会への参加ができなかったため。今年度の国際学会に現地あるいはオンラインで参加する。また、国際学会に投稿する論文の校閲等に使用する。
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