研究課題/領域番号 |
21K01688
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
井上 達彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40296281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ビジネスモデル |
研究実績の概要 |
実績は大きく3つに分けられる。第1は、ビジネスモデルの図解と基本分類の作成である。ビジネスモデルの定義(価値の創造と獲得)に対応して基本9分類を作成した。価値の創造については その源泉に注目し、①単体の力、②引き合わせの力、③組み合わせの力の3つを、価値の獲得については収益の流れに注目し①価値連鎖型、②継続型、③三者間市場型の3つを提示し、それらを掛け合わせた9分類を提示した。それが、「①製造販売モデル」「②流通小売モデル」「③合算モデル」「④継続モデル」「⑤フリーミアムモデル」「⑥設置ベースモデル」「⑦広告モデル」「⑧マッチングモデル」「⑨補完財プラットフォームモデル」の9つである。 第2は急成長が見込まれるスタートアップについての事例研究である。将来成長が見込まれるディープテックスタートアップの代表取締役のインタビューを行い、オンラインメディアの協力を得て掲載した。上記のビジネスモデルの図解ツールを用いて現状のビジネスモデルと将来の構想を描き出した。インタビューした内容の全てを公開することはできなかったが、今後の過程追跡調査の出発点としての情報を収集できた。資源の限られるスタートアップは、すべてを自社でまかなうのではなく、他社の製品と補完し合いながら価値創造を行う必要があるため「⑥設置ベースモデル」や「⑨補完財プラットフォームモデル」が有望である可能性が示唆された。 第3は実績のあるスタートアップの事業創造プロセスについての研究を論文として公刊することができた。アナロジーによって事業を創造し、企業価値を高めることができた2社の比較分析を行い、起業家の経験がビジネスモデルの創造にどのような影響を及ぼすのかについての仮説を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年に引き続き、学会誌に投稿できたという点において当初の計画以上に進展しているといえる。今後の事例研究においても、メディア掲載を前提にインタビュー調査を依頼することができており、将来有望な企業との関係性が構築できている。また、実証調査向けのデータベースの構築においても、研究室の大学院生との協力を得ることで作業をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、日本が大きく成長するスタートアップを育てるにあたって注目すべきは、技術を活かして社会課題を解決するディープテック企業だと考えられる。これらの企業についてさらに10社以上のインタビュー調査を行い、ビジネスモデルの特徴について洗い出していくつもりである。それと同時に、目論見書や東証グロースの有価証券報告書などからビジネスモデルを観測し、特定のビジネスモデルやそのポートフォリオが成長をもたらすのかの実証調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末において最終的な微調整が間に合わなかったため。
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