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2022 年度 実施状況報告書

中小企業の成長に向けた育成型連携イノベーションに関する研究:リフテットからの示唆

研究課題

研究課題/領域番号 21K01712
研究機関愛知東邦大学

研究代表者

田村 豊  愛知東邦大学, 経営学部, 教授 (40340400)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードリフテット / スウェーデン / 中小企業支援 / リーン生産 / 知識移転 / 認知と組織編成 / 組織改革
研究実績の概要

研究2年度目にあたり中小企業への支援内容の掘り下げを行うため現地調査を中心に検討を行った。調査では第一年度で注目した、リフテットの有効性、支援効果の内容に加えて、支援効果の実体についてポイントをしぼり検討を行った。そこでスウェーデンでの現地調査8月24日~ 9月4日に実施した。調査ではリフテットの置かれているRISE(ヨーテボリ市)においてリフテットの事務組織の総括担当者にインタビューを行った。またリフテットの教育機能の側面を明らかにするため、チャルマシュ工科大学(Chalmers University of Technology)においてリフテット向け講座を担当している担当教員にもインタビューを実施し内容、課題などをヒアリングした。またスカニアを訪問し、技術開発の現状についてヒアリングを行った。スカニアはリフテットの運営組織に理事職を送り、中小企業での技術開発のための支援に積極的に関わっている。実際にも多くの中小企業がスカニアを訪れ、どのような方法へと大手企業が関心をもって研究開発を行っているのか、研修の機会を提供しているためである。
以上の調査に加えて研究課題としては、中小企業が成長を果たすために、どのよう支援が行われることによって、企業の成長が果たせるのか。成長の実体はどのように構成されるのか、理論的検討枠組みが必要と考えられた。そこで本研究の対象となっている中小企業支援の組織的機能に加えて、リフテットの支援の基本理論となっているリーン生産方式の成長理論としての特徴について明らかにすることを課題として設定し検討を進めた。
さらに今年度は最終年度に向けて、本研究の位置付けを理論的に行う準備として、北ヨーロッパ学会シンポジウム、日本職業教育学会、名古屋産業大学付属職業教育研究所シンポジウム報告での報告を行うことで、本研究の途中経過を含めた評価機会を設けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度の課題として現地調査を中心にして調査計画を設定した。インタビュー対象の設定においては可能な範囲で調査を行ったが、理論的位置付けについては調査から得た現地情報との摺り合わせが十分にまとまらず、最終年度に向けて理論的整理を急ぐ必要がある。
とくに現地調査において重視したいと想定していた現地企業へのインタビューが十分ではなく、リフテットの成果がどのように現地企業の活動に変化を与えたのかについては明確な把握ができなかった。そのため、最終年度においては、各地方で行われている現地企業での成果の把握、事例の調査が必要であり、インタビューを含め現地調査の対象の絞り込みを行っていきたい。

今後の研究の推進方策

最終年度に当たり、調査とりまとめを念頭において、対象の理解を進めるため以下の課題を設定する。
①現地でのリフテット導入の成果を明確にしていく。そのためには、現地でリフテット導入によってどのような成果があったのか、それぞれの企業レベルでの調査を行う。とくに分野としては企業が所属する産業特性上のちがいや、地域的ちがいが存在するのかなど、把握することとしたい。
②リフテットの導入による変化を理論的な側面から明確にするため、理論的想定を行っていく。とくにリフテットの中心的理論となっているリーン生産(Lean Production)の理論的特性を明確にしながら、スウェーデン企業の社会的特性などを踏まえて、リフテットの効果を理論的に把握する。これまでの研究では中小企業の行動特性と地域特性の関係性については十分に把握が進んでいるとはいえず、スウェーデン的な中小企業行動の特性の把握が可能であるかどうか、検討を試みたい。
③支援内容の成果の把握については、理論的な領域に知的移転論など、これまでの中小企業支援の検討においては必ずしも重視されてこなかった、支援での組織機能についても積極的に把握することに務め、これまでの中小企業研究における研究としても成果を出せるよう努力していく。とくにリフテット導入によりどのような変化が企業成長へと貢献し、その成長のドライブを形成する上で、従業員成員間、経営管理層とのなかで、どのような変化が生じたのか、組織内部での組織的機能、意識的側面からも検討を行い、研究成果の
全体的質的向上に努める。

次年度使用額が生じた理由

渡航経費が予想より大きく超過したことなどがあり、予算を上回った。最終年度になるので、経費の使用には万全を期していく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] 「生産行動における分業と認知機能-ウッデバラ再論-」2022

    • 著者名/発表者名
      田村 豊
    • 雑誌名

      労務理論学会誌

      巻: 30/31 ページ: 115-131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] International Comparison about Management Organizations for Lean Production ―A Trial Comparison Study between Sweden and Japan―2022

    • 著者名/発表者名
      田村 豊
    • 雑誌名

      東邦学志

      巻: 51巻第2号 ページ: 58-59

    • DOI

      10.20728/00000584

  • [学会発表] スウェーデンの職業教育の展開と日本への示唆-2022

    • 著者名/発表者名
      田村 豊
    • 学会等名
      職業教育研究センター
    • 招待講演
  • [学会発表] IT進化と新たな知識総合への課題 -スウェーデンにおけるIT利用の事例から―2022

    • 著者名/発表者名
      田村 豊
    • 学会等名
      日本職業教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 北欧福祉国家とイノベーションー統一論題へのコメント―2022

    • 著者名/発表者名
      田村 豊
    • 学会等名
      北ヨーロッパ学会研究大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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