研究課題/領域番号 |
21K01715
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤 祐司 東京工業大学, 工学院, 特任准教授 (20401557)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デジタル経済 / フェアトレード / 消費者余剰 |
研究実績の概要 |
報技術の発展により、貨幣価値に換算できない価値が増大する一方、それらの対価として収集されている情報の価値も正しく貨幣価値換算できなくなっている。本研究は、デジタル変革により創造されるユーザサイド、情報活用企業サイドそれぞれの価値の規模・効果を把握し、その均衡条件を明らかにすることを目的に、デジタル経済下の貨幣価値換算のできない価値に注目し、① デジタル関連の経済活動の創造価値を点数化し、ユーザが得られる社会的厚生を推計、② 情報活用企業のユーザ情報活用のシステムのモデル化および検証を経て、③動的シミュレーションによるユーザサイド、情報活用企業サイドそれぞれの創造価値の均衡点を探ることとする。 3年計画の2年目となる22年度は、21年度に引き続き、教育・研究機関との連携体制の構築・維持および文献調査を行うと共に、以上の下地を基に、下記の研究を遂行した。 まず、21年度に事前検証した、① 売上等の確認可能なデータの背後にある、計測されない価値に係る要因について価値のバリュースコアリング、② デザイン思考による因果関係把握に関する準備、の結果を基に、① 因果モデル検証(インタビュー/アンケート)の実施、② 要因の重み付けとスコアリング、を行った。その際、学会や分科会において有識者との意見交換を毎月行った。 また、情報活用企業のユーザ情報活用のシステムのモデル化を目的に、①ユーザ情報活用システムのモデル化および②構築したモデルの検証(企業インタビュー)を実施した。あわせて、③ システムダイナミクス(SD)を用いた2軸接近アプローチ:ユーザサイドのバリュースコアリングおよび企業サイドのユーザ情報の価値推計結果を基に、両者のトレンドを示すSDモデルを構築し、仮のシミュレーションを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の2年目となる22年度は、21年度から引き続き、教育・研究機関との連携体制の強化を実施した。前年度同様、コロナ禍の影響により対面で議論を行うことはできなかったものの、ネットを通じた定期的な意見交換を行うことで、その体制を維持・強化することができたと考える。 研究協力者との定期的な研究打ち合わせはもとより、学会や分科会などを通じた有識者との意見交換を積極的に行い、モデル構築のための事前検証を十分に行うことができた。以上より、当初の計画に即しておおむね順当に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の最終年度となる23年度は、22年度までに行ったユーザサイドのバリュースコアリングおよび企業サイドのユーザ情報の価値推計結果を基に、両者のトレンドを示すSDモデルの構築・精査を行う。それらのモデルを基にシミュレーションを実施することで、両者の動態変化をグラフ化するとともに、ユーザサイド、情報活用企業サイドそれぞれの創造された価値の短期・中期的なトレンド予測を実施する。 さらには、以上の各要因のトレンドを基に、① ユーザサイド、情報活用企業サイドそれぞれの創造された価値の均衡点の確認と均衡のための条件把握、を行い、その結果を用いて、② ビジネスモデル毎の代表的企業を対象としたスコアリングの精査および企業財務データを用いた企業の成長への貢献分析、によるデジタル変革におけるデジタルエコノミーの新価値創造の社会経済システムへの貢献を解明することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的は、デジタル変革により創造されるユーザサイド、情報活用企業サイドそれぞれの価値の規模・効果を把握し、その均衡条件を明らかにすることである。 研究内容の普遍性を担保するためにも、教育・研究機関との連携体制の構築を行う際、連携対象国際研究教育機関として、国際応用システム分析研究所(在ウィーン)、ユヴァスキュラ大学(在フィンランド、ユヴァスキュラ)等を想定し、2回の訪問および1回の招聘を考えていた。また、国内研究機関との連携のための国内旅行および有識者からの知識提供に対する対価の支払いを考えていた。 しかし、コロナ禍の影響が長引き、当初予定していた訪問および招聘について、すべてインターネットを通じた簡便な遠隔議論により代替することとなった。 そのため、旅費及び謝金についての支出を次年度に回すことで、今年度余儀なくされた簡便な議論の深化および次年度に予定している研究検討に向けた経費とすることとした。
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