研究課題/領域番号 |
21K01716
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大沼 雅也 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30609946)
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研究分担者 |
久保田 達也 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (20634116)
積田 淳史 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (10635676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イノベーション / ユーザーイノベーション / 医療 / 産学連携 / 技術経営 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、主に三つの作業を進めた。それは(1)専門家ユーザーによるイノベーション活動への関与の背景を探索的に探る質問票調査の実施、分析、論文執筆と(2)今後の研究遂行に向けた準備として組織レベルの変数に関する理論的検討、(3)新たな質問票調査の実施に向けた関係先との調整ならびにインタビュー調査の調整である。一つ目については、本課題のスタートに先立ち作成を進めてきた質問票について、理論的検討とインタビュー調査を基に精緻化をまず行った。ユーザーイノベーション研究を中心としながら、アカデミック関与、アカデミックアントレプレナーといった領域の先行研究から調査票に落とし込むべき主要変数を整理してきた。また、並行してインタビュー調査を実施し、現場における認識と理論的知見との整合性を確認してきた。その上で、ある大学病院の特定部門の協力の下、複数の医療施設の医師を対象に質問票調査を実施した。さらに、そのデータを分析し、その成果を査読付き雑誌に投稿し、年度内にアクセプトされた(発行は次年度)。 こうした一つ目の成果を基に、さらなる研究の展開を図るのが二つ目の作業である。具体的には、先の調査結果からは、専門家ユーザーによるイノベーション活動への関与メカニズムをより深く探るためには、組織レベルの変数により着目する必要性が示唆された。そこで、我々は、同僚や専門家コミュニティ内における相互作用とイノベーション活動への関与との関係を理論的に整理し、発展的な質問票調査の準備を進めてきた。 三つ目の作業は、二つ目の作業の成果を反映した新たな質問票調査の実施に向けた準備である。幸いなことに続く調査先との調整を進めることができていると共に、その準備としてインタビュー調査の実施の目処を立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の作業は、おおむね順調に推移している。理由としては、予定通り質問票調査を実施できたこと、さらにはその成果の公表に向けて作業を進められたこと、さらには今後の発展的な調査に向けて具体的な方向性を定めて作業を行っていることがある。一連の活動を踏まえると、全体として順調な進展であったと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
二年目に入る本年度は、昨年とは異なる施設に対して質問票調査を実施する予定である。その準備として、インタビュー調査の実施と組織レベルの変数に関する理論的検討を進めると共に、調査先との調整を図りながら、調査の実現に向けて注力していく。さらに先の質問票調査の結果についてもより精緻な分析を進め、それらを整理した論文の執筆を進め、投稿する予定である。加えて、国内外での学会発表の予定が既に決まっていることから、その準備を行うと共に、各機会におけるフィードバックを基に、さらなる理論的検討を進める計画をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウィルスの影響により、人件費ならびに旅費に用いることができなかったことによる。想定では、アルバイトを雇用し、作業を進める予定であったが、それは難しい状況にあった。またインタビュー調査を予定していたが、ウェブで代替する等の措置により、当初予定していたほどに旅費を活用する機会がなかった。ただし、今年度は状況が好転してきたことから、作業推進用の人件費と海外旅費に用いる予定をしている。
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