研究課題/領域番号 |
21K01750
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
太田 幸治 愛知大学, 経営学部, 教授 (40410542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 消費者の自己知識 / 製品の自己関連性 / 製品コンセプト / 属性アプローチ / デザイン経営 / コンセプト不全 |
研究実績の概要 |
本研究は、どのような消費者が購買時に当該製品の価値、すなわち製品コンセプトを理解できるのか、を明らかにするものである。そして、消費者の自己知識の有無、とりわけ自分自身について知ろうとする欲求:自己認識欲求が購買時における製品コンセプトの理解に影響を与えることを明らかにするものである。 2021年度は、上記テーマを明らかにするため文献調査および定量調査のためのモデル構築を行なった。自己知識および自己認識欲求に関する研究は心理学で行われており、自己知識及び自己認識欲求についての測定尺度はある程度明らかになっている。しかしながら、本研究が想定する製品コンセプトの理解の測定尺度は既存研究にはほとんどなく、かかる尺度の作成に苦戦している。 本研究では、消費者の購買時における消費者の製品コンセプトの理解を定量的に測定することを試みている。本研究で明らかにしたい製品コンセプトは包括的なものであり、従来の研究に見られる属性アプローチによるものではない。それゆえ、消費者の製品コンセプトの理解についての測定尺度の作成が大変難航しており、研究が思ったように進んでいない。 しかしながら、既存の属性アプローチにおける製品コンセプトの調査を精査してみたところ、属性およびその水準に注目するのではなく、それらをまとめた属性プロフィールに注目していること(朝野(2000))が2021年度のレビューで分かった。2022年度以降は属性プロフィールについての理解、また定性調査も含めた消費者の購買時における製品コンセプトの理解(梅澤(1997))の研究に注目し、本研究を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は本研究テーマの予備調査をすべく調査で用いる概念、変数、仮説、モデルについて検討した。かかるプロセスにおいて、製品コンセプトの理解の測定尺度作成に苦戦した。本研究で用いる製品コンセプトは、包括的なものである。消費者が購買時に包括的な製品のコンセプトを理解できるのか、否かについてを定量調査で確かめるわけであるが、かような製品コンセプトの理解ついての既存研究を見つけることができず、またかようなコンセプトを定量的に測定する手段をみつけることができなかった。それが本研究の進捗が遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでも製品開発研究において製品コンセプトの理解についての調査が行われてきた。かかる調査は、属性アプローチという製品の属性に注目した調査がなされてきた。しかしながら、かかる調査を精査すると属性に注目するのではなく、属性の合成が本来の目的であることが分かった(朝野(2000)など)。今後は、属性アプローチの既存研究を改めて精査し、本研究に生かしていきたい。 また、定性調査も含めた消費者の購買時における製品コンセプトの理解の研究(梅澤(1997))にも注目したい。さらに組織論における経営理念の浸透についての調査研究(高尾・王(2012))にも注目し、本研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、調査モデルの構築が難航し、予定していた予備調査を実施できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。 2022年度中に調査モデルを構築し、予備調査を実施したい。現在、調査モデル構築のための文献調査を進めている。22年度8月に調査モデルを構築し、それから12月までの調査票を作成、1月から2月にかけて予備調査を行ないたいと考えている。
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