研究実績の概要 |
本稿では,金融リテラシー水準と次世代金融商品・サービスについて分析を行い,低リテラシー群と高リテラシー群のあいだで選択行動に差があることを示した.まず金融リテラシーは性別,年齢や所得水準・職業によって異なっており,低年齢層や低所得層,専業主婦などに金融教育を施していく必要性が示された.次世代金融商品については顧客化階層分析を実施,商品の試用率や常用率を上げ顧客化階層を進行させるには,理解から試用の推移率を高める必要があることを示した.試用者にいかに反復的・継続的に利用してもらえるのかは,その金融サービスの経験価値に依存していることになる.金融商品やサービスの品質評価は経験価値からは切り離すことができず,使用価値から得られる満足度は常用化につながる.経験価値の構成は,サービスへの加入の容易さ,利用のしやすさ,常用することの便益など様々な要素からなる.そのためにはPayPay導入期の利用額還元キャンペーンのようにまず試用を促すマーケティング戦略が必要とされる. 最後に次世代金融サービスとして電子マネーの利用について分析を行った結果,高リテラシー群は各サービスの特性をよく理解し,多様な電子マネーを併用していることが示された.電子マネーはターゲティングが容易なツールであることからも,電子マネーの利用拡大を促すために,金融リテラシー別にターゲティングを施したマーケティング戦略が有効であると考えられる.
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