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2022 年度 実施状況報告書

消費者のサステナブルな価値構造と行動のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K01758
研究機関筑波大学

研究代表者

西尾 チヅル  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 副学長・教授 (80241769)

研究分担者 石田 実  東洋大学, 経営学部, 准教授 (00754045)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードソーシャルマーケティング / 消費者行動 / サステナブル志向 / ライフスタイル / 尺度開発 / COVID 19
研究実績の概要

本研究は、消費者のサステナブルな価値への志向性と行動実態に焦点をあて、サステナブルな価値構造とサステナブル行動のメカニズムを解明することを目的とする。今年度は、大別すると次の2つの課題について研究した。
1つ目は西尾・石田モデル(2014)を用いて、消費者のサステナブルな行動(エコラベル商品と寄付型商品の選択、ボランティア活動)の規定要因がコロナ禍を経て変化したか否かについて、昨年度収集した調査データの分析結果を、コロナ前の同モデルによる分析結果と比較して、コロナ禍等の影響の有無を解析し論文としてまとめた(西尾2022)。また、カーボンフットプリント(CFP)を含めた商品の環境対応情報の効果についても解析し、学会で報告した。さらにこれらの成果を踏まえてサステナブル・マーケティングの展開方法を整理した(西尾 2023) 。
2つ目の研究課題として、サステナブルな意識や行動を醸成するメカニズムに関する研究を行った。発達心理学の観点から自己概念の形成に着目し、大切な人やモノを自己の一部として周囲との関係を築く相互協調的自己観が高い人は、自己概念を空間的・時間的に広げる特性を持ち易いことを実証した(石田・王, 2023) 。この成果を踏まえ、個人の自己概念の広がりは生活地域への愛着につながり、日常生活と結びついて深いレベルのエコロジー関与を形成し、環境保全型生活の実践に至るプロセスを実証的に明らかにした。分析結果より、行動に至るにはエコロジー関与の形成が不可欠であり、消費者にエコロジーに関する知識を伝え、またエコロジー行動を実践していると他者から認められる仕組み作りが重要であると確認できた。この知見は2023年5月の商業学会全国研究大会で石田・西尾連名で報告する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、今年度は消費者のサステナブル行動のメカニズムを、その背後にある価値、自己感、関与等の個人差要因とコロナ禍という状況要因の影響を多面的に分析し、明らかにすることができた。また、その成果を学会報告や研究論文の形で公表することができた。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は、消費者のサステナブルな価値構造と行動のメカニズムを解明し、それに基づいて企業のマーケティングの展開方法を具体的に提示することである。21年度、22年度の研究を通じて、サステナブルな価値構造とサステナブル行動の規定要因等については、個人差要因やCOVID 19といった状況要因の影響も含めて明らかにされつつある。ただ、これらの行動の経時的な変化を捉えることも本研究の目的でもあり、特徴でもあるので、次年度以降、継続的に調査、分析を進めている。それと共に、これらの成果に基づいて、サステナブルな行動を促進させるための企業のマーケティングの具体的な展開方法を示すことも、本研究で取り組むべき重要な課題である。22年度は商品の環境負荷をCFPラベルとして示すことの効果の研究にも着手したが、次年度以降は、情報提供方法の違いやその他のコミュニケーション方法も含めて多面的に効果を捉えたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

本研究で計画している課題の遂行にあたっては、いずれも大規模消費者調査が必要である。しかし、本科研費で使用できる消費者調査の予算が限られているため、今年度の調査は民間企業からの資金援助により実施し、予算の節約に努めた。また、コロナ禍により、研究発表を行う学会の多くがオンライン開催となったために、学会発表のための旅費等の支出が少なくなった。今年度節約できた研究費については、次年度の消費者調査に使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] カーボンニュートラル社会の実現に向けたマーケティングの役割と課題2023

    • 著者名/発表者名
      西尾チヅル
    • 雑誌名

      学術の動向

      巻: 28-1 ページ: 63-66

  • [雑誌論文] 相互協調性と拡張自己が場所愛着に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      石田実・王懿杰
    • 雑誌名

      東洋大学経営学部経営論集

      巻: 100 ページ: 73-86

  • [雑誌論文] コロナ禍は消費者のエシカル志向や行動にどのような影響をもたらしたか2022

    • 著者名/発表者名
      西尾チヅル
    • 雑誌名

      流通情報

      巻: 558 ページ: 21-30

  • [学会発表] A Case Study on the Impact of Environmental Information Disclosure2023

    • 著者名/発表者名
      Anjuri Kakkar, Chizuru Nishio, Minoru Ishida, Daiki Kanai, Hiroya Iwashita, Yuta Kamiya, Shoichiro Tsuruta
    • 学会等名
      日本LCA学会第18回研究発表会
  • [学会発表] 脱炭素化に向けて消費者の行動変容に必要なこと2023

    • 著者名/発表者名
      西尾チヅル
    • 学会等名
      「空のカーボンニュートラル」シンポジウム(国交省/資源エネルギー庁)
    • 招待講演
  • [学会発表] タイムセール購買におけるエシカルPOPシールの効果2022

    • 著者名/発表者名
      宮下佳子・西尾チヅル
    • 学会等名
      日本マーケティング・サイエンス学会第111回研究大会
  • [学会発表] 商品のCFP情報がクーポン選択に及ぼす影響:楽天Pashaによる社会実験2022

    • 著者名/発表者名
      西尾チヅル・石田実・金井大樹・鶴田祥一朗・佐藤忠彦
    • 学会等名
      日本マーケティング・サイエンス学会第112回研究大会
  • [学会発表] 消費者のエコロジー意識や行動に対するコロナ禍の影響2022

    • 著者名/発表者名
      西尾チヅル
    • 学会等名
      組織学会年次大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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