研究課題/領域番号 |
21K01763
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
中村 世名 専修大学, 経営学部, 講師 (80846577)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 製品ポートフォリオ / 製品導入行動 / 製品開発 / 企業の意思決定 / 競争ダイナミクス / オーストリア経済学 / 非持続的な優位性 / リスク・リターン分析 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、動態的視点から企業の製品ポートフォリオを理論的かつ実証的に分析することによって、企業が採用している製品ポートフォリオ変更戦略のパターンを識別し、各パターンの促進/阻害要因とそれらが企業成果に及ぼす影響を探究することを目的としている。研究プロジェクトの1年目に該当する本年度は、次の4つの成果をあげることができた。第1に、マーケティング研究、経営戦略研究、さらにはポートフォリオ分析の起源である金融経済学といった幅広い分野の既存研究をレビューし、ポートフォリオ研究の潮流を整理することができた。また、レビューの過程で既存研究が見落としてきたいくつかの研究課題を特定化することができた。第2に、日本の清涼飲料水産業の5年間の製品導入行動のデータと売上のデータを、分析が実施できる形式に加工・整理する作業を行い、来年度以降さらに拡張していくデータセットの基礎を作ることができた。第3に、予備調査として、現在までに作成が完了したデータセットに対してファジィ集合質的比較分析(fsQCA)を実施し、高い企業成果を生じさせる企業の製品ポートフォリオ変更戦略の特徴と低い企業成果を生じさせる企業の製品ポートフォリオ変更戦略の特徴について特定化することができた。具体的には、市場に導入する製品の量、多様性、および競合企業との異質性が、企業成果を左右する鍵概念であるということを見出した。第4に、分析の結果をまとめた論文が国内の査読付き学術雑誌に掲載を認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究プロジェクトの1年目に該当する本年度は、既存研究のレビューとデータセットの構築を行う計画であった。上記のとおり、既存研究のレビューとデータセットの構築は順調に進展している。また、本年度は、その過程で行った探索的分析の成果を論文にまとめて発表することもできた。当初の計画では成果のアウトプットは3年目以降の予定であったが、1年目という早い段階から成果のアウトプットができたことで、フィードバックを早い段階から取り入れることができ、その結果として研究のより大きな発展が期待できる。以上のことから、本プロジェクトは、現在のところ「当初の計画以上に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究プロジェクトの2年目に該当する来年度は、本分析に向けて、今年度に基礎を作ったデータセットの拡張を行っていく予定である。また、製品ポートフォリオ変更戦略の検討時に、企業が基準にしている指標や重要視している要素などの実態を把握するために、清涼飲料水メーカーの担当者にインタビューを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データセットの構築に必要な追加データの購入費を1年目の予算に組み込んでいたが、本年度の研究成果を出す上で必要なデータは、プロジェクト開始前に入手済みであったため、予期せね支出に備えて、購入を先送りしてしまった。来年度以降の研究成果を出す上では、追加データの購入が必須であるため、次年度の早い時期に追加データの購入を予定している。
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