研究課題/領域番号 |
21K01766
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 邦成 日本大学, 生産工学部, 教授 (20440448)
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研究分担者 |
生島 義英 長岡大学, 経済経営学部, 准教授 (00844028)
石原 良晃 大島商船高等専門学校, 情報工学科, 教授 (60232336)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ロジスティクス / デジタルトランスフォーメーション / 無人搬送フォークリフト / 人工知能 / パレット / 荷捌き / 荷役分離 |
研究実績の概要 |
物流センターにおける手待ち及び荷待ち時間の問題について,作業時間を短縮する具体的な改善案としてパレット単位での荷役の全面導入を検討することを前提に無人搬送フォークリフトとの連携についての検証を行った。無人搬送フォークリフトの大規模な導入により、人件費削減などのコストメリットを享受できるのみならず、荷役品質についても大きな向上が見込めるという仮説を立て、無人搬送フォークリフトの導入により生産性の向上、作業環境の改善、荷役品質の向上、24時間対応の実現などの可能性を検討した。 パレット荷役を取り扱うフォークリフトを有人から無人搬送フォークリフトに切り替えて運用することで効率化の実現が可能になる。無人搬送フォークリフトは、自動走行・自動積み込み・自動荷卸しなどの機能を備え、従来型のフォークリフトと比較して作業効率の向上や作業時間の短縮、作業の安全性向上などが期待できる。あわせて無人搬送フォークリフトの導入に関するコストシミュレーションのモデルを構築し、効果を検証した。 なお、無人搬送フォークリフトの導入に際しては輸送管理システムなどとのシステム連携を構築、強化する必要がある。トラック輸送においては輸送管理システムがトラック輸送の一連のプロセスを管理している。輸送状況や配達予定時刻、輸送コストなどの情報をリアルタイムに管理・共有することが可能である。しかし複数の事業者の情報ステム間の相互運用性が低いと情報共有が難しくなり、貨物の輸送状況を正確に把握することができない。無人搬送フォークリフトを活用して他社や委託先に引き継がれる場合、引き継ぎ先のシステムと情報を共有する必要がある。AIにより最適化された運行スケジューリングに基づいた効率的な運行システムをロジスティクスの枠組みの中で捉え導入していくことで当該課題は克服できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「デジタルトランスフォーメーションの浸透を踏まえて、AIを活用した運行スケジューリングシステム、入出荷バース管理システム、並びにトラック運行管理スケジューリングの導入で運行効率の向上を図り、シミュレーションを通してその効果を明らかにする」という当初の目的については、物流企業との共同研究を進め、物流センターへの実装の準備に入っていることから、おおむね順調に進んでいるといえる、 また、求荷求車企業へのヒヤリングなどからデータ収集を進め、輸配送管理システム(TMS)を物流センターの入出荷バース管理システム及びトラック運行スケジューリングに連動させるという要件定義についても大筋をまとめた。ほぼ計画通りの進行である。 また、物流センターにおける手待ち及び荷待ち時間の問題について,作業時間を短縮する具体的な改善案としてパレット単位での荷役の全面導入を検討する点については、協力を仰いでいる企業の物流センター立ち上げがコロナ禍などの影響で時間がかかっていたが、ようやく本格的に稼働したことから、データ収集が進められる環境となった。なお、効率的な運行システムをロジスティクスの枠組みの中で捉え効果的な導入,及び活用の方策を明らかにするという点においては大筋の方向性は見えているが、より緻密に議論を展開して、体系的な成果とするために議論と修正を行っていくことにしている。 学術発表などについても、これまでの成果を踏まえて、可能な限り発表できるように準備を怠りなく進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、次の2点を軸に考えることにする。まず、「トラック運転者不足及び長時間の荷待ちの解消を目的とする効果的な運行システムの構築、及びその効果を検証する」という目標を設定している。トラック運転者の働き方改革関連法の施行が2024年4月に迫っていることから、荷待ち時間の長時間化は可能な限り回避しなければならない。物流現場におけるヒヤリングとアンケートで直近1年の状況を把握し、それにあわせてKPIの現状値、改善目標値を設定して、どのような方策をとれば、どれくらいの効果が享受できるかを分析、検討する。 加えて、AIの導入によりトラック運行システムにおける労働負担をいかに軽減できるか、どれくらい労働力を確保することが可能になるかを勤務条件別のシナリオを立て、 乗務員数、人件費を算出し、少子高齢化社会に適応した運行管理システムを明らかにする。トラック運転者の労働負担については、運転時間だけではなく、休憩時間、休息期間、拘束時間などが厳格に順守されているかどうかを十分に見極めたうえで、中経輸送の導入などのシナリオを想定し、そのシナリオに沿って、オペレーションが行われた場合、適正な乗務員数としてはどれほど確保する必要があるのか、またその場合の人件費としてはどの程度のコスト上昇を念頭に置かなければならないのかといったことを確認する。これまでのヒヤリングなどの調査では働き方改革関連法の物流業界への導入などでコスト上昇の可能性が高い。労働環境の整備やDXなどの導入で可能な限りコストの上昇を抑え、効率化を図っていく方策を検討していく必要があると考える。 また、欧米においてもトラックドライバーの労働環境の改善が議論されていることを踏まえて、コロナ禍以降の海外事例についても、可能な限り、情報を入手していくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で対面での国内外の学会や研究調査の旅費がかからなかったために次年度に当該予算を回し、旅費として当てる予定である。国際ロジスティクス学会(韓国)、国内学会(関西など)への複数の発表と、研究調査(愛知など)を予定している。
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