研究課題/領域番号 |
21K01769
|
研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
片野 浩一 明星大学, 経営学部, 教授 (80387240)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ユーザー生成コンテンツ / マネタイズ / 動機づけ要因 / ファンコミュニティ |
研究実績の概要 |
本年度は,まず前年度に実施した先行文献のサーベイを基に,ユーザー生成コンテンツ(UGC)を制作して投稿プラットフォームに公開する個人とそのグループを対象した質問紙調査を設計した。 続いて,YouTubeを初めとする動画共有プラットフォームに近年投稿が急増する映像・動画コンテンツ,また音楽や小説など幅広いUGCを対象に,制作する個人ユーザーが収益を獲得する行動について動機づけ要因と能力から投稿公開成果を経て収益化に至るプロセスをモデル化し,質問紙調査とそのデータの統計分析から検証する。先行文献ではUGCの制作投稿を動機づけて投稿量を増やす要因について報告が多く,その先,つまり投稿成果が市場と顧客からどのように評価され,それが収益化(マネタイズ)にどのように結びつくかに関する体系的な収益化モデルの研究例は少ない。そこでUGCの収益化モデルを提案して経験的に検証することでUGCのユーザー行動研究を補完して体系化する狙いがある。 調査仮説はユーザー生成コンテンツの収益化モデルとして,UGCを制作公開するユーザーの動機づけ要因・能力がどのように投稿成果に影響し,それが市場反応としてファンコミュニティ(チャンネルやページの登録者数・フォロワー数)にどう影響し,その結果,間接的収益と直接的収益にどのように結びつくかというパス解析モデルとして設計した。 調査仮説と質問紙の設計に基づき,2022年11月にインターネット調査会社モニター1,000人に対して調査を実施して回答を回収した。回収データは仮説モデルに照らして構造方程式モデリング(SEM)を行い,仮説パスを検証した。 次年度はこの分析結果について日本商業学会,日本マーケティングサイエンス学会にて口頭発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に研究テーマに関する先行文献を幅広くレビューし,レビュー論文として発表できたことで,次の実証研究,UGC収益化モデルを順調に設計することができ,これに関する質問紙調査も計画どおりに実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
23年度は22年度に実施した質問紙調査の結果について統計モデルを通じた分析を行い,これを所属学会にて口頭発表する予定である。その経過を経て学術論文として取りまとめる予定である。 また,UGCに関する事例研究として代表的なユーザーに対してインタビュー調査を計画し,23年度後半から24年度初めにかけて実施する予定である。 これらの計画について現在のところ問題や支障はない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インターネット調査会社の調査委託費用が予定よりも少なくなったためである。次年度はこの余剰分についてインタビュー調査の計画と実施に関わる費用に充当する予定である。
|