研究課題/領域番号 |
21K01774
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
森藤 ちひろ 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (10529580)
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研究分担者 |
山本 昭二 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (80220466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヘルスケア / オンラインサービス / e-Health / m-Health / パーソナルヘルスレコード / DX |
研究実績の概要 |
ヘルスケアサービスは,時間・コミュニケーションの方向性・人・サービス消費場所で[A]~[D]に分類できる([A]実地にて人によって直接提供される同時双方向型対面サービス,[B]無人施設にて人を介さず提供される一方向型セルフサービス,[C]遠隔で同時双方向で人によって提供される同時双方向型オンラインサービス,[D]遠隔でオンデマンド型で提供される一方向型配信サービス)。本研究では,オンラインサービスにおける提供者と消費者および消費者間の相互作用に着目し,[A]・[C]・[D]の比較によってオンラインヘルスケアサービスの効果的な提供プロセスの解明を新技術に対する消費者の受容過程を明らかにしようとしている。 本年度は,文献レビューと調査を行った。e-health(ICTを活用したヘルスケアサービス)の最も一般的な技術はm-health(モバイルヘルス)であり ,主要な関連技術としてクラウド,ビッグデータ,セキュリティ,システムが挙げられ,コスト,データのセキュリティとプライバシーが障壁となっている(Fonseca 2021)。e-healthによる介入は消費者の行動変容に有効である(Cugelman 2011)。 観察調査,提供者に対するインタビュー調査から,[C]同時双方向型オンラインサービスでは,人数に関わらず,提供者と消費者および消費者間の相互作用が発生しているが,その相互作用を生じさせるためのサービス提供者の留意点は対象とする消費者の人数によって異なることが示唆された。また,消費者には[A]~[D]に対して選好があり,その選択には費用対効果に対する認識も影響していることがわかった。消費者は各サービスの利点を理解して使い分けており,複数タイプの利用者も確認された。[A]同時双方向型対面サービスを好む消費者においてヘルスケアサービスのオムニチャネル化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,Step1として,マーケティング,消費者行動,メディア論,心理学,医学,人間工学等のサービス環境,顧客経験,情報探索,意思決定,態度に関する先行研究レビューと,提供者と消費者のサービス環境と両者間の相互作用に関する観察調査を行い,インタビュー調査項目を抽出するという予定であった。コロナウィルス感染症の影響により予定していた調査方法の変更が必要となった部分はあったが,おおむね計画通りに進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は1年目の知見を踏まえ調査を進めていく。提供側のサービス環境の効果に対する認識についてさらに調査の必要性があることから,提供者へのインタビュー調査と観察調査を引き続き行う。提供者に対する調査結果をもとに,消費者側が提供者のオンラインサービスをどのように知覚し評価しているのかを明らかにするための質的調査を行う。消費者に対するインタビュー調査項目としては,情報探索,提供者のサービス品質,提供者/消費者のサービス環境に対する認識,消費者の自己効力感,顧客満足,顧客参加,ICTに対する受容性,消費者間の相互作用を予定している。提供者・消費者に対する調査結果から,それらの概念の関係について仮説を導出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響で出張を行わず研究を実施したこと,消費者へのインタビュー調査が実施できなかったため,そのための予算を次年度に使用する変更が発生した。次年度は,コロナウィルス感染に対する細心の注意を払い,また状況に応じてオンラインを活用し,当初の予定の調査を行っていく予定である。
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