研究課題/領域番号 |
21K01774
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
森藤 ちひろ 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (10529580)
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研究分担者 |
山本 昭二 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (80220466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オンラインサービス / ヘルスケア / ウェルビーイング / 自己効力感 / ICT |
研究実績の概要 |
本研究はオンラインヘルスケアサービスの品質評価尺度の開発と消費者の満足モデルの構築を目的としている。令和5年度は、サービス環境に対する認識とその評価が顧客満足、顧客参加にどのような影響を及ぼすのかについて焦点を当てた。オンラインヘルスケアサービスにおいて、消費者が誰かと一緒に実施している、あるいは繋がっていると感じられる一体感の醸成は消費者の満足や参加に影響を及ぼすと考えられる。また、ヘルスケアサービスに対する満足は顧客のウェルビーイングと関わりが深いことから、個人レベルと集合レベルのウェルビーイングの関係、集合レベルのウェルビーイングであるソーシャルウェルビーイングやコミュニティウェルビーイングに関する先行研究レビューを行い、事例研究を実施した。 事例研究では、コミュニティの中で「デジタル」と「アナログ」の両方によって社会関係資本が形成されており、ICTの普及によってコミュニティ形成は地縁よりも価値観や人生のミッションを共有できる相手との結びつきが強くなっている傾向が見られた。そして、ICTは新規参加者の参加に対する障壁を下げ、コミュニティの広域化と発展スピードを加速させていることが示唆された。 アフターコロナの時代に入り、サービス提供におけるDX化が進み、新たな研究成果も多数見られ始めているため、パンデミック後のデジタルサービスに関する研究の整理を行った。対面/オンラインという空間の違いだけでなく、サービス提供者が人なのかデジタル技術なのかという点もオンラインヘルスケアサービスの品質評価や満足に影響を与えることが示唆された。よって、オンラインヘルスケアサービスが提供される環境(対面とオンライン)に加え、提供者(人間とデジタル技術)の違いにも着目していく方針でサービス環境に対する定量調査を行っていくこととし、調査設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミック後のデジタルサービスに関する研究に関してレビューを行った。また、ソーシャルウェルビーイング、コミュニティウェルビーイングの概念がオンラインヘルスケアサービスにおいても重要であると考えられたことから、新たなレビューと事例研究を実施した。その後、それらの知見を元に定量調査の設計を行った。そのため、時間を要し、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
アフターコロナの時代においてサービス提供におけるDX化が加速していることを踏まえ、追加で実施したレビューにおいて、オンラインヘルスケアサービスが提供される環境(対面とオンライン)の違いだけでなく、提供者(人間とデジタル技術)の違いにも着目していく必要性を認識した。また、ウェルビーイングのレビューにおいて、オンラインヘルスケアサービスにおいても、ソーシャルウェルビーイング、コミュニティウェルビーイングのような集合レベルのウェルビーイングに着目する意義が認められた。よって、予定していた調査項目に加え、オンラインヘルスケアサービスのサービス環境、サービス提供者の違い、オンラインヘルスケアサービスのコミュニティとしての役割に関する項目を追加し、定量調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックの影響でサービス提供が大きく変化し、DXの推進やAIの普及が進んだ。それらを加味した調査が必要と考えられた。サービスが提供される環境(対面とオンライン)、提供者(人間とデジタル技術)の違い、ICTの受容性、AIに対する信頼などの項目を追加する必要性を認識した。また、集合レベルのウェルビーイングに着目する意義が認められたため、それらに関する項目も検討した。そのため、調査設計に時間を要し、調査時期が次年度に繰り越しとなった。予算は調査費用に使用する予定である。
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