研究課題/領域番号 |
21K01779
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
内山 哲彦 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (50334165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 会計学 / 管理会計 / 統合報告 / 企業価値創造 / 企業観 |
研究実績の概要 |
本研究課題の概要は、企業の目的を何と設定し、社会のなかで自社をどのように位置づけるかという企業観が統合報告の実践及び効果の発現において大きな影響を与える可能性があることから、日本及びアメリカの企業における企業観の変化を含めた、企業観の違いが統合報告の実践及び効果に与える影響について、理論的に検討を行うとともに、実態把握、国際比較を含めた理論的考察とモデル化を行うことである。 2021年度は、2021年9月よりアメリカにおいて研究を行っていることから、日本及びアメリカに関する実態把握及び理論的考察を進めた。まず、社会における企業の役割やそれらへの期待の変化、また企業価値創造におけるインタンジブルズの重要性の高まりから、ステークホルダーに対する価値創造と非財務情報の重要性を指摘した。その具体的な表れの一つとして、統合報告の実践の意義や位置づけを提示した。そして、伝統的な資本主義形態を整理するとともに、近年に強調されるようになった、新たなステークホルダー資本主義の特徴を指摘した。また、日本及びアメリカにおける、新たなステークホルダー資本主義とそこでの取り組みについて考察した。日本については、日本経済や日本の株式市場における変化に基づき、コーポレートガバナンス改革の背景と推移について考察した。アメリカについては、法的規制に加え、非財務情報に関する基準と基準設定団体の連携等について考察した。 これらの研究成果は、在外研究拠点でのワークショップにおいて発表するとともに、現在、英語論文としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2021年度から2022年度前半にかけては、企業観の概念整理やアメリカ企業における株主志向の経営からステークホルダー志向の経営への移行の現状と背景について検討し、研究発表を行って論文にまとめることとしていた。 2021年9月よりアメリカにおいて研究を行っており、企業観についての概念整理を行うとともに、日本及びアメリカにおける、新たなステークホルダー資本主義とそこでの取り組みについて考察した。これらの研究成果は、在外研究拠点でのワークショップにおいて発表するとともに、現在、英語論文としてまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカにおける研究の期間を含めた第1段階(第2年度前半まで)では、新たなステークホルダー資本主義における取り組みの現状と背景、統合報告を含めた企業報告の実態について調査・検討し、研究結果を英語論文としてまとめることとしている。 第2段階(第2年度後半)では、在外研究の後に、調査・考察結果を踏まえて、日本企業に対する補足的な考察を行うとともに、情報の取りまとめを行う。 第3段階(第3年度)では、日本企業に対するこれまでの研究も加えて、考察結果をまとめ、国際比較を含めたモデル化・体系化を行って、研究目的を完遂する。
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