研究課題/領域番号 |
21K01791
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
三木 潤一 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70609966)
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研究分担者 |
石原 俊彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地方財政 / 財政の健全性 / 健全化判断指標 / 新地方公会計 / 統一基準の財務書類 |
研究実績の概要 |
地方自治体における財政の健全性は「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(地方財政健全化法)が定める4つの健全化判断比率で評価することができる。加えて、総務省は現在、日本全国の地方自治体に対して発生主義会計に基づく統一基準の財務書類の作成を求めている。財務書類の作成は、公共施設等総合管理計画と連動して、インフラ資産やハコモノの更新等に有用な会計情報を提供している。2021年度は、健全化判断比率のうち唯一のストック指標である将来負担比率に着目し、公会計情報との接続を山形県の市町村について行った。 本研究の目的は、パス解析やVuong検定といった統計手法を用いて、地方財政健全化の判断指標と地方公会計における財務書類上の会計数値との関係性を財政的・会計的・統計的に解明することにある。本研究は、財政学・会計学・統計学を融合させた学際的研究である。現金主義会計と発生主義会計とでは、情報利用者による意思決定の内容は当然に異なるが、両者の関係性の解明により、新地方公会計による財務書類を活用した「地方財政の健全化(財政規律)と公共施設等の更新(公共事業)」という二大行政課題の推進が可能になる。2021年度は、財政学と会計学による学際的研究として、アドホックな仮説モデルの構築に先立ち、山形県市町村の公会計資料に掲載されている減価償却累計額を、将来負担比率の算出において将来負担額に導入した。その結果は、既存の早期健全化基準を再設定する必要性を示唆し、公共施設等総合管理計画や財政計画の見直しに繋がるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はまず、統計分析を行うに際し必須となる統計ソフトウェア一式ならびにPCを購入し、研究環境を整備した。そのうえで、国内外の出張先で多くのヒアリングや資料の調査を行ない、アドホックな仮説モデルの構築を行う予定であった。しかしながら、コロナ禍により、必要なヒアリング調査などが行えなかったためモデル構築には至らず、統計手法による分析はまだ実施できていない。それに代替して、上述の「研究実績の概要」の通り、財政学と会計学による学際研究として、財政の健全化判断比率のうち唯一のストック指標である将来負担比率と、公会計情報との接続を山形県の市町村について行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、コロナ禍により2021年度に実施できなかったヒアリングや資料の調査を行い、それに基づき、研究分担者と協力してアドホックな仮説モデルを構築し、統計手法により分析する。また、当初の予定通り、2022年度ではアンケート調査を実施し、英国における現地調査と併せ、地方財政の健全化比率と新地方公会計における財務書類上の会計情報との関係性について、最終年度の理論モデル構築に向け準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、ヒアリングや資料の調査、研究代表者と研究分担者との打ち合わせ、および成果発表のための旅費を計上していたが、コロナ禍により実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度には、2021年度に実施できなかった内容を、可能な限り回復する計画である。
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